国際欧州委員会は28日、2025年のEU通商・経済安全保障政策の実施状況をまとめた年次報告書を公表した。EU(欧州連合)が締結する通商協定が輸出市場の拡大だけでなく、重要原材料やエネルギーの調達先分散を通じ、サプライチェーンの強靭化にも寄与しているとした。
25年末時点でEUは76か国と44の特恵貿易協定を発効しており、域外貿易の46.3%を占めた。協定相手国との物品貿易は前年比3.1%増となり、その他の第三国との伸び率1.4%を上回った。農産・食品輸出も協定相手国向けが4.6%増えた一方、非特恵国向けは3.6%減少した。
調達面では、EUが輸入する重要原材料の4分の1を特恵貿易相手国が供給している。カナダからの重要原材料輸入額は24年から25年に62%増の33億ユーロとなった。鉱物製品の輸入もカナダから14%増の61億ユーロに拡大し、EU全体の鉱物製品輸入の4分の1超を占める。25年2月に暫定貿易協定が発効したチリからの鉱物製品輸入も33%増加した。
欧州委は25年、14の協定相手国で20件の貿易障壁を全部または一部撤廃したとしている。EUは25年から26年上期にかけて、メルコスール、メキシコ、インドネシア、インド、豪州などとの通商協定で合意・妥結しており、これらが加わることで特恵貿易の比率は53.3%に高まる見通し。地政学リスクが高まるなか、通商協定を輸出促進だけでなく、原材料やエネルギーの安定調達を支えるサプライチェーン政策として位置付ける姿勢を強めている。
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