ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

CBRE調べ

首都圏の大規模賃貸物流施設、空室率1.6P上昇

2014年7月24日 (木)

調査・データシービーアールイー(CBRE)は24日、4-6月の首都圏・近畿圏マルチテナント型大規模物流施設の市場動向を発表した。

4-6月に首都圏で竣工したマルチテナント型大規模物流施設は1棟のみで、3四半期続いた高水準の供給が一服した形となった。1-3月期に竣工した物件の一部のスペースが再度募集にかけられたほか、4-6月期の新築物件が空室を残して竣工したこともあって、空室率は6.1%と前期の4.5%から1.6ポイント上昇した。

ただ、竣工1年以上の物件に限ると空室率は1.7%で、前期の1.4%に続いて依然低く、CBREは「全般的に需要は堅調。中規模以上の面積を必要とする企業が新築や建築中の物件を物色する展開に変わりはなく、数字の上での需要の縮小も一時的」と分析した。

賃料面では、埼玉県八潮市・三郷市、千葉県柏市・流山市・野田市周辺に加え、今期は東北自動車道・久喜IC周辺でも成約賃料の上昇がみられた。割安な賃料水準と圏央道接続が好感されてテナントの引き合いが多く、ビルド・トゥ・スーツ(BTS)型を含む物流施設の開発が盛んな地域となっている。

首都圏の郊外エリアが注目される一方で、燃料費の高騰やドライバー数の減少といった複合的な課題に悩む物流業界では、「最も輸送距離の短い都心立地が再評価されつつある」と指摘。この結果、賃料水準の高い東京23区湾岸部でも賃料が上向く兆しが出てきた。

年末までに首都圏で竣工するのは3棟で、うち2棟はほぼ募集を終了したと伝わっているため、年内の空室率は5%を下回る低めの水準に抑えられると予想。ただ、首都圏の東側、特に千葉県内16号線周辺で開発計画が増加しており、供給が集中する15年後半には空室率がある程度上昇する、との可能性を示した。

こうした首都圏の状況について、同社は「今後も需要の拡大が期待できるが、賃料の見通しにやや慎重にならざるを得ないエリアが出ることも想定される」とみている。

近畿圏では、大型マルチテナント型物流施設としては8四半期ぶりに新規供給が2棟あり、うち1棟は半年前に満床となるなど、ともに順調にテナント需要を吸引した。空室率は上昇したものの、0.8%と依然需給はタイトで、まとまった面積を必要とするニーズは今後竣工する予定の物件に集まっている。

14-16年の3年間にこの2棟を含めて合わせて8棟の大型物件の開発が予定されており、先進的物流施設のボリュームは急速に増大。福岡県でも大型物件2棟が竣工し、1棟は満室、もう1棟も順調にリーシングが進捗しており、テナントニーズは、規模でも件数でも拡大傾向が顕著なエリアとなっている。

■首都圏の大規模賃貸物流施設の需給推移(CBRE)

首都圏の大型マルチテナント型物流施設の需給推移

■レポートの詳細
http://www.cbre.co.jp/JP/research/Pages/MarketViews.aspx