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日本気象協会、物流への天気予報活用で効果

2015年4月6日 (月)

調査・データ日本気象協会(東京都豊島区)は6日、天気予報で物流を変える取り組みとして実施している「需要予測の精度向上による食品ロス削減、省エネ物流プロジェクト」の初年度の取り組み結果を公表した。

プロジェクトは、日本気象協会が気象情報とPOSデータなどのビッグデータを解析し、高度な需要予測を行った上でサプライチェーンに情報を共有することにより、食品ロスの削減と、返品・返送、回収、廃棄、リサイクルなどで不要に発生している二酸化炭素の5%削減を目指す取り組み。

14年度は、需要予測の高度化による食品ロスの削減について「不要に発生している二酸化炭素を冷やし中華つゆでは40%(最終生産量比)、豆腐では30%削減できる」ことを確認した。

Mizkan(愛知県半田市)の販売している、賞味期限は長いものの特定の季節に需要が集中する季節商品の冷やし中華つゆと、相模屋食料(群馬県前橋市)の販売している豆腐・牛乳など冷蔵を要し、あまり日持ちのしない日配品の豆腐の売上・発注量・廃棄量・気象データ解析、需要予測手法の検討、解析を行った。

実際には、サプライチェーン関係業者との調整、最適在庫、プロモーションの影響などをさらに考慮する必要があるものの、解析結果によって「物流分野で天気予報を活用できることが客観的に明らかになった」と強調している。

冷やし中華つゆを対象とした解析では、市場規模との連動性の強い一商品を対象に、各年によってばらつきが大きく予測困難な季節終盤の最終生産量の解析を行った。

日本気象協会、物流への天気予報活用で効果

夏場の気温の高まりと売り上げの伸びとの関係性は高いものの、平均気温が一旦ピークを迎えると、暑さのピークを迎える前に売り上げが伸びなくなるという点に着目し、「気温による消費者心理の転換」や「実効気温」を合わせて考慮することで、売り上げの97%は気象をもとにした同社独自手法で説明できることが分かった。

この結果、予測困難な季節終盤の最終生産量のうち、食品ロスの削減で不要に発生している二酸化炭素を40%削減できることが分かったという。

豆腐を対象とした解析では、気象状況による変化が小さい絹豆腐や木綿豆腐などの定番商品ではなく、夏場に消費量が大きく増加する一商品を対象とし、日々の発注量解析を行った。「現在どのような気温か」より、「どのような経緯をたどりこの気温にいたっているか」を定式化して解析。

日本気象協会、物流への天気予報活用で効果

売り上げの64%は気象をもとにした同社独自手法で説明できることが分かり、冷やし中華つゆと同様に食品ロスの削減で不要に発生している二酸化炭素を30%削減できることが判明した。

14年度は、対象商品を冷やし中華つゆ・鍋つゆ・豆腐に、対象地域を関東地方に絞って解析を行ってきたが、15年度は取り組みを拡大し、対象エリアを全国に広げるとともに、対象商品に冷やし麺、アイスコーヒーを加える。また、対象商品はアイスやシチューなどの気象感応度の高い商品にも広げたい考え。

さらに、15年度は人工知能分野の技術を用いた新たな解析手法を検討し、来店客数や曜日、特売などで売上の変動の大きい小売店の需要予測の実証実験を行う方針。具体的な15年度の計画は7月をメドに発表するとしている。