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全ト協調べ

4-6月のトラック景況感、事業規模間の格差拡大

2015年8月19日 (水)

調査・データ全日本トラック協会のまとめによると、トラック運送業界の4-6月期は軽油価格が依然として高い水準にあり、運転者の深刻な人材不足に直面するなど足元の事業環境の厳しさを反映し、景況感の判断指標がマイナス34.6となり、前回のマイナス28.3から6.3ポイント悪化した。7-9月期はほぼ横ばいのマイナス34.3と予測した。

調査結果を受け、全ト協は「トラック運送業界の多層化構造のなかで、事業規模間の格差が拡大している」と指摘。

その根拠として、大規模事業者では荷主と直取引のケースが多く、運賃単価が改善傾向にあり、軽油価格下落のコスト改善効果を受けて判断指標がマイナス13.5と前回のマイナス35.4から大幅に改善。一方で中小規模事業者は下請・孫請の位置付けにあるため、運賃単価が改善せず、軽油価格下落のコスト改善効果を十分享受できていないと分析した。

一般貨物は輸送量(の判断指数)がマイナス23.1で1.6P改善したものの、営業収入はマイナスと1P悪化。営業利益もマイナス17と2P悪化した。特別積合せ貨物は、宅配の輸送数量がマイナス7.7となり、43.9Pの大幅な改善となった。営業収入はマイナス5.1と49.7P、営業利益もマイナス7.7と40.7Pそれぞれ改善した。

宅配以外の特積貨物は、輸送数量がマイナス30と依然として低水準にあるものの、前回から21.6P改善。営業収入もマイナス11.7で12.5P改善した。一方、営業利益はマイナス10で0.3P悪化した。

運賃・料金水準は、一般貨物が10P悪化の0.3、宅配貨物が14.2P改善の7.7、宅配以外の特積貨物が4.2P悪化の20となった。実働率は-21.4で2.2P悪化、実車率も-20.5で3P悪化した。

雇用状況(労働力の過不足)は56.3と5.1P低下し、不足感は弱まった。採用状況はマイナス1で指標が2.6P増加、所定外労働時間はマイナス16.6で3.1P増加した。貨物の再委託(下請運送会社への委託割合)はマイナス12.7と3.4P増加、経常損益はマイナス9.8で4.5P悪化した。

事業者の規模別では、大規模事業者がマイナス13.5と21.9P改善、中規模事業者はマイナス33.7で10.6P悪化、小規模事業者はマイナス44.5で12.4P悪化した。

一般貨物の主な取扱い品目別では、消費関連貨物がマイナス23.2(5.7P悪化)、機械関連貨物がマイナス31.1(16P悪化)し、その他の貨物もマイナス45.2(9.9P悪化)となっている。特に東北、中部、近畿、中国、九州で水準を下げた。

7-9月期の見通しは、一般貨物が輸送数量、営業収入で横ばい、営業利益はやや悪化する。宅配貨物は輸送数量がやや悪化、営業収入、営業利益は悪化の見込みで、宅配以外の特積貨物は輸送数量がわずかに改善、営業収入、営業利益はやや悪化する。

運賃・料金水準は一般貨物がわずかに低下、宅配貨物はわずかに改善、宅配以外の特積貨物はやや低下の見込み。実働率、実車率はほぼ同水準、雇用状況(労働力の過不足)は指標の水準を上げ、不足感が強まる見込みとなっている。

採用状況はやや水準を下げて減少、所定外労働時間はやや水準を上げ、貨物の再委託の水準はほぼ横ばい、経常損益は指標の水準を下げる見込み。事業者の規模別では、大規模事業者が悪化、中規模事業者、小規模事業者はほぼ横ばいとなる見込み。

品目別では、消費関連貨物がやや水準を下げ、建設関連貨物はわずかに水準を下げ、機械関連貨物はほぼ横ばいとなる。その他の貨物はやや水準を上げる。中部、近畿、四国では水準を上げ、北海道、東北、中国、九州では水準が低下する。