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帝国データバンク調べ

燃料価格と運賃改善で運輸業の倒産大幅減

2015年9月8日 (火)

調査・データ帝国データバンクが8日公表した運輸業の倒産動向調査結果によると、燃料価格の下落と運賃の値上げ浸透が主な要因となって倒産件数が大幅に減少していることがわかった。

燃料価格と運賃改善で運輸業の倒産大幅減

(以下、出所:帝国データバンク)

運輸業ではリーマン・ショック後、商流の停滞、燃料価格の高騰、ドライバー不足などの要因で、倒産は長らく高止まりの傾向が続いてきたが、事業環境の変化で倒産件数に「明らかな減少の兆し」(帝国データバンク)が出てきた。

運輸業の倒産件数と高い連動性を持つ軽油小売価格(資源エネルギー庁調べ)は、14年7月に1リットル147円の高値をつけたが、15年に入り120円台に下落、8月末には一段と下がり、115円台をつけている。

燃料価格と運賃改善で運輸業の倒産大幅減ことし1-8月の倒産件数は21.2%減の215件と大幅に減少。負債総額も19.8%減の294億9500万円と同様の傾向を示した。倒産件数は08年以降、13年まで6年連続で400件を上回って推移していたが、15年はこのペースで推移した場合、「300件台前半にとどまる公算が大きい」(帝国データバンク)。

負債規模別では、1000万-5000万円未満が96件で全体の44.7%を占めた。このうち94.4%は負債5億円未満の中小零細業者。業態別ではトラック運送(道路貨物運送)が141件(構成比65.6%)で、前年同期比27.7%の大幅な減少となった。

倒産の主な要因としては、販売不振が173件で全体の80.5%を占めた。地域別では、関東、近畿、中部の三大都市圏が147件で68.4%と7割近くを占めたものの、前年同期比では26.1%の大幅な減少となった。一方、東北、四国、九州は増加した。

具体的な倒産事例をみると、13年にはテクノ・シーウェイズ(東京都、7月破産開始決定、負債154億円)、ワールド・ロジ(大阪府、8月破産開始決定、負債79億5400万円)などの大型倒産があったものの、14年以降、負債50億円を超える大型倒産は発生していない。

10億-50億円未満の倒産も14年は10社、15年は8月までの間にわずか4社にとどまっている。14年の比較的規模の大きい倒産には、ベネット船舶(東京都、7月破産開始決定、負債29億5000万円)、丸二海運(福岡県、11月破産開始決定、負債27億700万円)などがあった。

15年はここまでに、土佐電気鉄道とその関係会社の高知県交通(高知県、3月特別清算開始決定、負債は2社合計で39億8000万円)、ワールドストリーム(東京都、8月破産開始決定、負債17億2900万円)などが倒産している。

07年にはシーコム(東京都、4月破産開始決定、負債1097億円)、10年にはJPエクスプレス(東京都、9月特別清算開始決定、負債681億4900万円)、12年には三光汽船(東京都、7月会社更生法、負債1558億円)などの超大型倒産があった。