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15年度の内航輸送量4.2%減少、内航総連調べ

2016年9月5日 (月)

調査・データ日本内航海運組合総連合会(内航総連)がまとめた2015年度の内航輸送実績は、前年実績を2.6%下回り、3億9681万5000トン(キロリットル)となった。貨物船による輸送量は4.2%減の2億5032万9000トン。

鋼材は、自動車をはじめとした製造業向けや公共工事の減速から土木用を中心とする建設の需要が鈍く6.8%減少となった。内航総連は「鉄鋼メーカーは在庫調整のための減産を進めたが、需要の回復遅れのうえ、中国の鉄鋼製品との競合もあり輸出の低下も手伝って減少している」と分析。

原料はセメントの需要落ち込みに伴い石炭石が減少した。加えてスラグや「その他原材料」のマイナスも響き5.1%減。

燃料は2.9%増加。石炭は原発不稼働に伴う火力発電所向けの需要があったほか、西日本地区のLNG発電所のトラブルによる一時的な増加もあった。紙・パルプは1.5%減少。昨年は台風18号による土砂災害でJR東海道線の不通分を内航が代替輸送で増加したことがあったがことしはなく、電子媒体へのシフトから新聞用紙を中心に紙の販売減少が継続している。

雑貨は昨年8月に起きたフェリーの火災事故により、貨物の輸送を増便で対応したことや東北向けの建材・部材、プレキャスト・コンクリートのほか、飲料、菓子用の馬鈴薯、冷凍魚などの輸送が見られたほか、沖縄の観光客向けが堅調なのもあり1.4%増。

自動車は4.1%減。昨年の消費税増税の駆け込み需要後の低迷があった。また、昨年4月から軽自動車税が増税となったため駆け込み需要があったが、その後は販売台数が低調。ことし1月の愛知製鋼知多工場の爆発事故により、生産ラインの停止などマイナスの影響が見られた。

セメントは全国的な公共工事などの不振や、過剰在庫から荷動きが低調で5.5%減。このほか穀物・肥料・飼料は6.3%減、機械・プラント2.7%減、砂・砂利・石材が12.4%減となった。

油送船による輸送量は0.3%増加の1億4648万6000トン(キロリットル)となり、黒油が4.6%減、白油が1.3%増、油脂4.6%減、ケミカル4.5%増、特タン船が5.6%増加した。

黒油は西日本地区のLNG発電所のトラブルやボンドバンカー向け製油所間転送が輸送量を支えた局面もあったが、電力需要の伸び悩みやLNG・石炭・水力発電などの他燃料へのシフト、原発の再稼働があり減少。

白油はガソリン・灯油の国内販売量が減少している中で、転送需要が輸送量を下支えした。ケミカルは内需を背景にした市況の好転や円安による輸出の増加が見られた。特タン船はLPG、塩ビモノマー、エチレン、アスファルト、苛性ソーダの増加があった。ケミカル同様に円安による好調な輸出が輸送にプラスとなった。