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大半の業種で改善傾向示すも運輸・郵便は悪化

トラック運送業が突出、長時間労働と脳・心疾患請求件数

2016年10月11日 (火)
長時間労働
空白

話題厚生労働省が7日公表した「過労死等防止対策白書」によると、運輸・郵便業の「月末の1週間の労働時間が60時間を超えた雇用者」のいる割合は18.3%(2015年)となったことがわかった。他業種を大きく引き離して最も高い比率となっただけでなく、大半の業種が2010年から低下したのに対し、運輸・郵便業は0.1ポイントながら上昇した。

運輸・郵便業に次いで長時間労働者の割合が高かったのは建設業の11.5%だが、10年比では1.4ポイント改善。全業種では8.2%(10年比0.3Pの改善)と、運輸・郵便業の突出が目立つ結果となった。

職業別の割合を調べた総務省の就業構造基本調査(2012年)でも、「輸送・機械運転従事者」における長時間労働者の割合は27.6%と、2位の農林漁業従事者の16.5%を大きく上回っている。07年との比較では全12職中、輸送・機械運転従事者のみが上昇、ほかの職業はすべて低下しており、過労死等防止対策白書の結果と併せて、トラックドライバーの労働環境の劣悪さと改善が進まない現状が浮き彫りになったといえる。

過重労働で脳血管疾患や虚血性心疾患を発症したとして労災請求を行った件数は、運輸・郵便業が181件で全体の22.1%を占めてトップ。卸売・小売業116件(構成比14.6%)、建設業111件(14%)の順で多かった。業種中分類で見ると、道路貨物運送業が133件で2位の総合工事業(48件)を大幅に上回っている。

業務で強い心理的負荷を受け、精神障害を発病したとして労災請求した件数は、製造業262件(構成比17.3%)、医療福祉254件(16.8%)、卸売・小売業223件(14.7%)の順で多く、支給決定件数は製造業71件(15%)、卸売・小売業65件(13.8%)、運輸・郵便業57件(12.1%)の順となった。

この結果から、精神障害では運輸・郵便業の請求・支給決定件数が脳・心疾患ほどではないように見えるが、実際に支給が決定された業種を中分類で見ると道路貨物運送業が36件で2位の「社会保険・社会福祉・介護事業」より12件多くなっている。

■白書の詳細(全文)
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/16/dl/16-1-1.pdf