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NTTデータ、物流業務自動化画像判別AI開発

2017年5月31日 (水)

サービス・商品NTTデータは5月31日、物流業務の自動化・最適化に向けAIを活用した「物流画像判別AIエンジン」を開発し、6月1日から「物流業務変革コンサルティングサービス」の提供を開始すると発表した。

同社は、人手に依存した物流業務を自動化するためには、「ロボットにとって動作判断の基準となる現場の画像、映像情報を自動で正確に認識する技術が重要」だと考え、鈴与、佐川急便などと実証実験を行い、荷物の判別や自動仕分けに対する有用性を検証し、昨年度に最先端のディープラーニング技術を活用した「物流画像判別AIエンジン」を開発した。

このエンジンでは、スマートフォンや固定カメラにより撮影した荷物画像・映像のデータの特徴量を抽出し、多様な荷物の荷姿、寸法、取り扱い、汚れ、破損の有無など最大1000種類の特徴を画像から自動的に判別が可能。

物流現場は、製造業の生産工程と異なり取り扱う商品や荷物の種類が多岐に渡るため作業の機械化が難しい領域とされてきたが、今回開発したエンジンを活用することで、ロボットが多種多様な荷物を取り扱えるようになり、物流現場の人手業務の負荷を下げることができるようになった。

エンジンの応用範囲は幅広く、倉庫の入庫検品、仕分け、積み降ろし業務のロボット化に役立てられるだけでなく、将来的にほかの分野にも適用することも可能。

具体的には、人手での重労働となっているトラックへの荷物の積み込みやトラックからの荷物の積み下ろしを、物流画像判別AIエンジンによる荷姿の自動判別結果をインプットしたロボットによる自動積み込み・積み降ろしにより、作業者・ドライバーへの負担軽減を図る。

目視により時間をかけてキズ・破損を確認している検品・梱包作業を物流画像判別AIエンジンによる画像判別により自動判別し、作業時間の短縮や精度を向上させるほか、倉庫内での棚卸し作業、特に危険を伴う高所での作業をエンジンを搭載したドローンなどのロボットを用い倉庫内を巡回させることで自動化し、人手での作業時間や危険性を軽減する。

ことし1月には、経済産業省の「IT・人工知能技術の活用による物流効率化のための調査」事業に採択され、物流効率化に向けたIoT・AI技術の適用課題を調査するとともに、配車計画に対する物流画像判別AIエンジンの適用シミュレーションを実施した。

シミュレーションでは、自動判別の精度を90%と仮定した場合に、人手で行っている荷姿登録業務を65%省人化でき、荷物と空き車両のマッチングが成立する確率が3.6%向上可能との試算を得た。

実験で得たノウハウ体系化することで「物流業務変革コンサルティングサービス」として提供を開始することが可能になった。

このサービスは、物流業務の自動化に向けAI技術を適用するためのコンサルティングメニュー。センサー・ロボット稼動情報を活用し、生産性や収益性をモニタリングするKPI構想の策定をはじめ、ロボティクスが導入され人・ロボット混在となった物流現場でのピッキング動線・棚配置、要員計画、配車計画の最適化、AI・ロボティクスを活用した積み下ろし、入出荷検品、仕分け、棚卸しの自動化、データの一元集約と分析による付加価値創出を狙ったIoTプラットフォームの設計・構築まで手がける。

同社は、このコンサルティングサービスと物流画像判別AIエンジンを含むシステムの提供を通じ、2020年度末までに100億円の売上を目指す。また、将来的には物流だけでなく、他分野へも拡大する。