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デンソーなど6社、商業施設向け電力管理実験を開始

2012年3月30日 (金)

イベントデンソー、豊田通商、セック(東京都世田谷区)、ヤマト運輸、セブン-イレブン・ジャパン、トヨタ生活協同組合(愛知県豊田市)の6者は30日、共同で商業施設向けエネルギーマネジメントシステムの実証実験を行うと発表した。

 

次世代エネルギー、次世代社会システムの構築に向け、商業施設で地産地消などエネルギーの最適利用を図ることを目的としたエネルギーマネジメントシステム(BEMS)を開発するため、豊田市で共同実証実験を行う。BEMSは、システム全体を制御するBEMSコントローラー、蓄電池、直流(DC)・交流(AC)の変換、電圧の変換を行う各種パワーコンディショナーなどからなるシステム。

 

4月から2014年12月にかけて、(1)商業施設向けBEMS、ヒートポンプ式給湯器と太陽光発電の連携システム(2)車載蓄電池の小型化による燃費向上効果、コスト低減の可能性(3)最適充電場所管理システムを用いた誘導(4)停電・災害時の電力給電――の実証実験を行う。

 

商業施設向けBEMS、ヒートポンプ式給湯器と太陽光発電の連携システムの実証実験では、商用施設の代表としてコンビニエンスストアやショッピングセンターを対象とし、BEMSコントローラーと蓄電池を核にして、電気をつくる太陽電池、太陽電池でつくられた電気や必要に応じて電力会社から供給される電気を熱に変換して貯めるヒートポンプ式給湯器、車両用充電ポールを設置する。

 

店舗での時間帯別に、主にフライヤの洗浄などに使用する湯の使用量を季節変動などのパターンから推定し、外気温が高く、太陽光発電電力も大きい昼間エネルギーを有効活用し、必要な時間に必要な湯量を確保する。

 

また、電力会社から供給される電力がACであるのに対し、太陽光発電ではつくられる電力がDCであるため、通常、電気を使用する設備ではいったんACに変換する必要があり、この変換でエネルギーのロスが発生していた。今回の実証実験では、DCで稼動するヒートポンプを開発することで、DC電力のまま直接ヒートポンプ式給湯器で活用することでエネルギー変換ロスを最小限にして高効率に湯沸しを行う。

 

さらに、定期的に商用施設へ商品を運ぶ商用車の、各店舗への立ち寄り時間帯を過去の実績パターンから推定し、必要な時間に必要な商用車用充電電力を確保した上で、余剰電力は商業施設内で有効活用し、エネルギーの地産地消の可能性についても検証する。

 

車載蓄電池の小型化による燃費向上効果、コスト低減の可能性の実証実験では、保冷・冷凍庫付きの宅配便商用車にも蓄電池を搭載し、商業施設や一般家庭での荷降ろし・集荷で停車中、信号待ち停車中などにアイドルストップしても保冷・冷凍庫の温度管理をできるようにする。

 

商用車に搭載した蓄電池は、基地である配送センターでの充電に加え、立ち寄り先店舗での継ぎ足し充電を行う。これで、蓄電池に求められる一充電当たりの容量を小さくでき、蓄電池の小型化が可能となる。今回の実証実験では、蓄電池の小型化の効果としての燃費向上、コスト低減の可能性について検証する。

 

最適充電場所管理システムを用いた誘導実証実験は、店舗に設置された商業施設向けBEMS内の蓄電残量と、商用車の走行位置情報、蓄電残量をリアルタイムでモニタ監視することで、周辺地域の充電器情報を「見える化」し、商用車を最適充電場所に誘導する実証実験を行う。

 

停電・災害時の電力給電では、店舗に設置した可搬型蓄電池の機能として、停電・災害時を想定した給電の可能性について、店舗内での活用だけでなく必要な場所に搬送し活用することを含めて検証する。

 

実証実験の終了後は、次世代エネルギー、次世代社会システムを見据え、業務部門でのエネルギーの最適利用を実現するとともに、低炭素化社会の実現に向けた効率のよいエネルギーマネジメントシステムの開発・事業化に向け、今回の実験の結果を活用していく。2010年4月から経済産業省が推進している「次世代エネルギー、社会システム実証地域」に選定されている豊田市で、「低炭素都市構築プロジェクト」の一環として実施するもの。