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月額1万円から、Hacobu「MOVOトラック受付システム」を使ってみた

荷待ち改善ツール選び重要に、荷主勧告回避のカギ

2018年6月9日 (土)

話題トラック一運行あたりの手待ち時間をご存知だろうか。全日本トラック協会の調査結果によると、2015年の平均手待ち時間は1時間45分に上り、全体の3割近くが2時間を超えていた。

物流が円滑に機能している時代なら、「荷待ち」がこれほど注目されることはなかったかもしれないが、トラックドライバーの長時間労働が社会問題化する中、国が主導して改善を促す重要な項目となっており、17年7月以降は乗務記録への記載も義務化された。荷主や物流センター運営者にとっては、早急な改善が求められているといえよう。

▪1回の運行の平均拘束時間と内訳(左)、平均手待ち時間(右、ともに国土交通省「荷待ち時間の義務づけについて」より)

荷主の改善努力重視も非効率な実態

これは、国土交通省が荷主に対して物流取引上の是正を求める荷主勧告の判断材料として、物流センターの周囲にトラックの渋滞を発生させる「荷待ち」を改善する努力が行われているか否か、を重視していることの表れだ。

ところが入退場時の受付方法としては、紙のノートに到着順に運送会社名・ドライバー名を記載する昔ながらの方法が採られているのが実情で、ドライバーの誘導も、ノートに記載されたドライバーの携帯電話番号を確認しながら、都度連絡するという形が主流。

この方法では労務管理や業務効率化に向けた分析のために入退場記録を収集しようとしても、逐一情報を転記する必要があり、非常に効率が悪いといえよう。

国交省が示している荷待ち時間の記録例によると、簡単そうに見えてかなり手間がかかりそうだ。

荷待ち時間の記録例(国土交通省)

導入しやすさと使い勝手にこだわり、Hacobu「トラック受付システム」

こうした中、物流向けに多彩な機能を提供するHacobu(ハコブ、東京都港区)が打ち出した新サービス「トラック受付システム」が、コスト面や導入の手軽さから耳目を集めている。必要な機能をしっかり押さえながら、導入のしやすさを評価する声の多さが特徴だ。

どこがどう使いやすいのか、評価を聞くだけでは今ひとつわからない。実際の使い勝手はどうなのか、これは使ってみるしかないと思い同社にお願いしたところ、快く協力してくれることになった。

サービス名称は「MOVOトラック受付システム」と、シンプルこの上ない分かりやすさ。数多くある同社の提供サービスの中で、2月に提供を開始した「オンラインバース予約システム」から、大規模倉庫事業者から中小まで要望の多かった「入荷当日のドライバー受付・誘導機能」を切り出して提供したものだ。

「現場の受付業務を電子化しただけでなく、将来的に前工程である納品予約業務の改革を進めたい事業者には、まずは分かりやすく納品事業者やドライバーに負担の少ない受付の電子化を行い、段階的に次のステップに進める、ということが可能になります」(Hacobu・濱崎惟取締役CFO)

導入しやすさにこだわりながらも、システムを使ってみて気に入った場合に必要になる“次の段階”が用意されているという工夫が施されていることを強調している。

操作に迷う要素なしのシンプル設計も拡張性高く

実際の流れを見ていこうーー。

まず、ドライバーが物流拠点に到着すると、タブレットまたはタッチパネル式のパソコン画面に、携帯電話番号、運送会社名などを入力することになるのだが、事前に受入側倉庫でドライバー情報を含む接車予定情報を登録しておくことが可能となっている。この場合、携帯電話番号を入力するだけのワンタッチで確認・登録が完了してしまう。

受入側倉庫の管理者側では、到着したドライバーの状況を一覧画面で管理しながら、順番にボタンを押していくだけで、入場指示を行うことができる。

また時系列に作業状況を表示する画面も用意されており、遅延や作業中といった状況が色分けされているため、どこに問題があるかも一目瞭然だ。

待機中のドライバーが携行するスマートフォンには、SMS(ショートメッセージサービス)で荷卸指示などが表示される。

あえてアプリなどを使わずSMSを使用することで、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)やスマホなどの携帯端末さえあればあらゆるドライバーが利用できる点に「親切設計」が感じられた。専用アプリをダウンロードして使用するのも、アプリ数が増えてくると煩雑さを増してしまう要因となるものである。

最後に、退場時も入場時と同様、タブレットなどでドライバーが退場受付を行う。

物流電子化促進の担い手、手軽さと拡張性の“売り”実感

実にシンプルだった。手間の数は最小限に抑えられ、操作に迷う要素もなく、事前の使い方の説明もほぼ不要かもしれないというレベルだ。

こうした操作のバックグラウンドでは、入場時間(ドライバーが受付した時間)、呼び出し時間(受付または現場作業員がドライバーをバースへ誘導した時間)、作業開始時間(現場作業員が画面で操作)、作業終了時間(同)、退場時間(ドライバーが受付した時間)ーーという一連のドライバー実績情報が蓄積され、CSVファイルで出力することができる。

使って見た結果「違和感はなく導入が簡単。特に難しい操作もない」というトラック受付システムの“売り”を実感することができた。これは未だアナログなイメージの強い物流業界の電子化に、一役買いそうだ。

費用面についても確認した。受付1か所あたり、月額1万円(+税)から利用可能。加えて、小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったソフトウエア、サービスなどのITツールを導入する経費の一部を補助する「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)」のITツールとして登録されており、これが非常に大きい。これによって導入費用の最大50万円、半分まで補助対象となるため、相当な低コストで導入できるのだという。

荷待ち渋滞に悩みを持つ荷主や、センター運営を担う物流事業者に適したソリューションであることは十分確認できた。

Hacobuでは、すでに提供している動態管理ソリューションや、オンライン配送受発注などの機能、今回開発した受付システム、バース管理ソリューションとの機能連携をさらに進めていく予定だ。

これによって実現できるのは、大手のような投資がなくとも「荷物を出すところから、走行中のトラックの管理、倉庫に到着するところまで」の幅広い物流過程をクラウド上で円滑に管理できる、まさに物流のプラットフォームであろう。

▪参考リンク
https://movo.co.jp

問い合わせ先
株式会社Hacobu
TEL:050-3852-2987
フォーム:https://movo.co.jp/contact/