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テラドローン、東急不動産HD、オムロンヘルスケア

AED輸送実験でドローンの優位性確認、千葉で実験

2018年8月10日 (金)

▲ゴルフ場で倒れたプレーヤーにAED運搬を行うドローン

空白

話題テラドローン(東京都渋谷区)、東急不動産ホールディングス、オムロンヘルスケアの3社は10日、千葉県大網白里市の一般住宅地とゴルフ場の複合開発地「季美の森」で、AEDを搭載した救急用ドローンによる飛行実験を行ったと発表した。

7月31日に「ゴルフ場でプレーヤーが倒れた場合」と「季美の森の住宅地内で住民が倒れた場合」を想定し、クラブハウスからゴルフコース・個人住宅に向けてドローンでAEDを運搬し、ゴルフカートでAEDを運んだり救急車を呼んだりしたときと比べ、ドローンによるAED運搬の有効性を確かめるために行ったもので、個人住宅に向けてドローンでAEDを運搬した実験は国内初。

実験では、季美の森ゴルフ倶楽部の10番ホールのグリーン上でプレーヤーが倒れたと想定し、クラブハウスからドローンで450メートルの距離をAEDを運搬。ゴルフカートによる運搬時間と比べ、ドローンによるAED運搬の有効性を計測した。

また季美の森の住宅地内でAEDが必要なケースが発生したと想定し、ゴルフ場のクラブハウスから350メートル離れた実験対象の住宅まで、ドローンでAEDを運搬した。

10番ホールのグリーンへのAED運搬実験では、1分44秒でグリーン上空へ到達、2分11秒でAEDを届けたが、「今回は安全のためドローンの降下を慎重に実施したが、もし降下時間を早めればさらに早く届けることが可能」になる見込み。

また季美の森の住宅へのAED運搬実験では、2分22秒でAEDを届けた。近隣消防署から実験対象となる住宅までの移動時間を計測したところ、10分10秒かかったことから、3社は「ドローンによるAED運搬は、救急車到着までの間に、AEDによる応急処置を早期に実施できる手段として、その有用性を確認することができた」と評価。

実験結果を受け、「今回は両実験とも短距離での実験だったが、距離が伸びるほど、またさらなる技術向上により、ドローンによる運搬は有効性が増すことが期待される」と実用化への自信をみせた。

また、日本AED財団によると、心停止の救命率は電気ショックが1分遅れるごとに10%ずつ低下する。このため「AEDの適正配置が難しい郊外団地やスポーツ施設などでは、ドローンによるAEDの運搬は、救命率向上に向けた有効な手段」となりそうだ。

▲個人住宅に向けAED運搬を行うドローン

■実験で使用したドローン
機種名:MATRICE 600 Pro
寸法:1668ミリ×1518ミリ×759ミリ(H・W・D)
重さ:9.1キロ(バッテリー含む)
最高速度・最高高度:18メートル/秒(無風時)、高度2500メートル

■実験で使用したAED
製品名:自動体外式除細動器「レスキューハートHDF-3500」
外形寸法:縦200×幅180×高さ50ミリ
本体質量:1.1キロ(除細動パッドパックを含む)