早稲田、腕の負担も軽減する補助スーツ開発

サービス・商品早稲田大学は10日、同大学理工学術院の田中英一郎教授の研究グループが、作業服メーカーの旭蝶繊維（広島県府中市）と共同で、腰だけでなく腕の負担も軽減する補助スーツ「e.z.UP」（イージーアップ）を開発したと発表した。

従来の補助スーツは、腰を屈めて物を持ち上げるときに、伸ばす腰の負担を軽減するようモータや空気圧などのアクチュエータを使用した装置があるものの補助効果が高くても高価であり、また重量があるため長時間装着するの難しく、ゴムやばねなどを用いた補助スーツもいくつか開発され製品化されているが、腰のみを補助するものが多かった。

今回の研究では、過去に田中研究室で学生と開発した、物を持ち上げる際に腰や膝を曲げるとゴムベルトにより腕が持ち上げられる構造を基にして、上半身には袖が、下半身には背中から足裏までベルトがある補助スーツを開発した。容易な構造のため、1分程度で装着が可能となっている。

これまでの実験では、この補助スーツを使用すると、持ち上げ動作時の上腕二頭筋と脊柱起立筋の筋活動の最大値が3-5割程度軽減したという。補助スーツは、背面にある四角形の布が変形し、対角線の一方が延ばされると他方が縮むことにより、左右非対称の動作に柔軟に対応。長さの異なる2層の伸縮性のある布が、少し腰を曲げたときには柔らかい1層目のみが作用し、深く腰を曲げると2層目も発動し、段階的に強く脊柱起立筋を補助する。

現在、日野自動車で評価を開始しており、今後羽村工場にて同補助スーツを実際の作業時に使用し、実際のラインでの評価を行う。