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農総研、安値相場対応で物流費を個建負担に変更

2019年10月17日 (木)

国内全国の生産者・小売店舗と契約し、農産物の委託販売・買取委託・卸販売を手掛ける農業総合研究所(和歌山市)はこのほど、2019年8月期決算を発表した。説明資料によると、産直販売などを行う契約小売店舗はイトーヨーカ堂、ドン・キホーテなどが加わったことで1416店舗(前年同期比231店舗増)、契約生産者は堅調に推移して8605人(760人増)、生産者から農産物を集荷する拠点は33都道府県92拠点(6拠点増)となった。

入荷・出荷先が増加したことで流通総額は96億1400万円(9.5%増)、売上高は31億200万円(34.3%増)となり、営業利益500万円(前年同期△9600万円)、経常利益2000万円(前年同期△4700万円)と黒字に転じた。

▲(出所:農業総合研究所)

一方で、18年11月から19年5月までは市況相場の安値が続いたことで物流費負けしてしまい、特に単価の低い大型野菜などは生産者からの出荷手数料だけでは物流費を賄えない課題も浮き彫りになった。こうした事態を受けて同社は2020年8月期の施策として物流費を従来の料率負担(出荷額の8.5%)から個建負担(1コンテナ300円)に変更することを発表した。これにより相場局面に関係なく物流費が回収できるようになる。

▲物流費負担方式変更のイメージ(出所:農業総合研究所)

▲(左)バラ出荷方式(右)従来の出荷方式

また、新たに千葉県内の集荷場で「バラ出荷方式」も導入し、これまで生産者が行う必要があった袋詰め・シール貼り・商品振り分けを同社に委託できる出荷方式も選択できるようにする。生産者は小売り店舗まで選択する必要がなくなるため、出荷にかかる手間が軽減されるほか、同社で商品の振り分けを行うことで最適物量を実現し、物流の効率化と1コンテナあたりの売上高増加を見込めるという。

そのほか、20年8月期では東京加工センターの拡張移転、大阪物流センターの本格始動などを計画しており、通期単体で流通総額105億円(10.6%増)、売上高32億円(12.2%増)、営業利益6000万円(34.6%増)を目指す。