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標準運賃告示、全ト協・馬渡副会長が「完全に同意」

2020年4月2日 (木)

話題全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長は2日、都内で開催された標準運賃の告示制度に関する公聴会で「国土交通省の考え方に完全に同意する」と述べ、2月26日に国土交通大臣が運輸審議会に諮問した標準運賃の告示制度に賛成であることを表明した。

▲全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長

トラック運送業界を代表して意見を述べた馬渡副会長は、「現状では十分な運賃を確保できないことから、事業を継続するために長時間労働とならざるを得ない状況がある。このままの状態で罰則付きの時間外労働上限が適用されると、安定した物流機能を維持できないおそれがある」との懸念を示し、その上で「標準的な運賃を示すことは、荷主への価格交渉力が低く、必要な経費を賄いきれていない事業者への大きな後押しとなる。新型コロナウイルスの騒動のなかで物資を運び続けているトラックドライバーのためにも、制度を推進してほしい」と公述した。

また、馬渡副会長は制度が施行された後の動きについても言及し、「国土交通省には、わかりやすい説明資料を作成・発表した上で、荷主企業にも直接働きかけをしてもらいたい」との要望を付け加えた。

標準運賃の告示制度は、トラックドライバーの労働条件改善を目的に、運送事業者が必要なコストを賄って運営できる目安運賃を国土交通省が公表する制度で、この運賃案は輸送契約の多くを占める「貸切運賃」を想定して作成された。具体的には、運送距離に応じて運賃を決める「距離制運賃表」や、運送時間に応じて運賃を決める「時間制運賃表」を各地方運輸局別に定めているほか、「特殊車両割増」「休日割増」「深夜・早朝割増」「待機時間料」「附帯業務料」――などの取り扱いについて言及している。

運賃の算出にあたっては、一般的に運送原価の半分を占める人件費と車両費を主要項目として計算しており、人件費は全産業の平均値を採用し、車両費は償却年数を5年間として計算している。

運輸審議会は今後、公聴会の意見を参考に審議を進め、国土交通省は運輸審議会からの答申を受けて運賃を告示する。決定した標準運賃に強制力はないが、改正自動車運送事業法では2024年度から時間外労働の上限が適用されるまでの時限措置としているため、同省はできるだけ早く告示にこぎ着けたい考え。

今回の公聴会は、出席者全員がマスクを着用し、窓を開放した状態で開催された。

▲(左から4人目)運輸審議会会長を務める元・東日本環境アクセス社長の原田尚志氏

■距離制運賃表

■時間制運賃表、運賃割増率、待機時間料、その他費用の取り扱い

「標準的な運賃」案の一覧
http://www.mlit.go.jp/common/001330580.pdf