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回答物流企業の55%でコロナ感染者、物流連調べ

2020年12月9日 (水)

調査・データ日本物流団体連合会(物流連)は8日、会員物流企業81社を対象とした新型コロナウイルスへの対応に関する動向調査結果をまとめた。回答した物流企業の55.2%が「グループ企業を含む社内」で新型コロナウイルスの感染者が生じたと回答した。

調査は感染拡大期から今秋にかけての会員企業の対応動向についてアンケート、ヒアリングを行い、BCPを中心に各社の「業務に及ぼした影響」「具体的な対応」「今後に向けての課題」を整理したもの。ヒアリング10社を加え、39社が回答した。回答企業は比較的大規模な物流企業が多い。

物流連が調査結果を集約した結果、4月から5月にかけて発令された緊急事態宣言下では「人の移動が制限される中、物流を止めてはならない」という懸命な活動が行われる一方で、非接触化・非対面化、業務遂行の体制確保、貨物増減への対応など、既存のBCPの想定を超えた事態への対応が喫緊の課題となっていたことがわかった。一部ではテレワーク、ペーパーレス化など、社屋に集まらなくても全社的に事業が継続できる体制への転換を図る動きがみられた。

国内外に分けて「危機感を持って対応を始めた時期」を問うたところ、国内拠点は2月が41.4%、海外拠点は1月が34.5%でそれぞれ最多となった。

テレワーク・在宅勤務の効果については、事務業務で74%、現場(現場事務)で69.3%と高い数値が出た一方、「全く機能しなかった」「なんとも言えない」と否定的な意見もあり、物流連では「テレワークに向く仕事とそうでないものの整理に課題」があると分析した。

テレワーク・在宅勤務のメリットに関する質問では「電話対応が減り業務に集中できるようになった」「全国規模の社内会議がウェブで完結されて経費削減が実現した」「個人のやるべき仕事が定義(ジョブ型化)さえされていれば、生産性の確保が可能」といった意見がみられた。デメリットとしては「会議の数・時間ともに以前よりも増えた」「業務の指示、進捗具合、評価など、生産性の評価が難しい」「入出庫作業など現地現物の性質上そぐわない(手間が増える)」などの声があった。

今後の見通しについては「決して明るくないものの、多くが2021年度は状況改善を見込む」との見方が大勢を占めたものの、実際の貨物量は「EC市場などBtoCは堅調な一方、BtoB(企業間取引)貨物量が回復に至らず」とみている企業が多かった。具体的には、輸送単価の下降、車両などの固定費負担、低稼働率ーーといった事業への影響が長期化している。

これらの影響に対し、一部では暫定的な対応として「月末・月初納品などの分散化」「時間指定の緩和」「専用車両など固定費の補てん要求」「助成金の活用」に取り組んでいるが、こうした応急処置にとどまらず、コロナ対応を機に「パレットなどの荷姿の標準化」「納期の分散化」「商習慣の見直し」など、「物流の生産性向上の取り組みを加速させていくことが重要」と指摘する意見も多くみられた。