環境・CSRバイオ燃料は軽油や灯油、ガソリンなどの枯渇性燃料の代替として期待される再生可能な非枯渇エネルギーだ。すでにブラジルやアメリカ合衆国では開発が盛んだが、わが国においては未だ認知度が低い。(企画編集委員・永田利紀)
「ミドリムシ」で始まる説明を読めば、バイオ燃料の象徴とされている穀物類と別物に捉えてしまいそうになる。しかし、植物由来であるという大枠においては共通しているし、作り出される燃料も同等品といって差し障りない――専門家が説明すれば、その先の詳細を論理的に記述するのだろうが、ここでは関連引用などは割愛する。
そもそもディーゼルエンジン開発時の燃料はピーナッツ油だった――つまりバイオ燃料に端を発したのち、時を経て原点回帰することになったという点は興味深い。この先の近未来において、「原点回帰」は新エネルギーにとどまらず、各分野の開発の果てにたどり着くキーワードとなる気がするのだが、読者諸氏はいかがお考えになるだろうか。
かたやで台頭めざましい水素エネルギーを筆頭とする燃料電池の分野も大きな存在となっている。可能性を秘めた開発ラッシュの様相は、とても頼もしく安心感がわいてくる。
ついては、官民共同での開発や普及への努力を余すことなく活かすために、多種分散による中途半端が居並ぶ有り様だけは回避願いたい。過ぎた行政主導は禁忌だが、国には推奨するエネルギー種別の指定や、燃料に応じた動力装置の開発援助による前方向への直進を後押ししてもらいたい。
横拡がりによる動きの鈍化だけは何としても回避すべきだし、足踏みや試行錯誤の繰り返しを受容できる余裕はないはずだ。エネルギー問題は脱炭素という絶対条件を満たしつつ、迅速に解決しなければならない地球規模での命題なのだ。目的地をひとつに決めたうえの競争しか認めない。国はそれぐらいの気概で事にあたってもらいたい。