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陸・海では水素エネルギー時代が到来間近/解説

2020年12月18日 (金)

ロジスティクス水素エネルギーの有用性については、国際的にも概ね理解と認知が共有されている。港湾部をエネルギー供給の基地化するプランは機能性と合理性からも魅力あふれている。何よりも、港湾で船舶への水素エネルギー充てんが円滑に即座に行われることの可能性は計り知れず大きい。

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船舶は搭載できる燃料タンクやパワートレインの大きさが相当規模に見込める。つまり、より多くの荷をより長い距離、より長い時間運べるようになる、というのが素人ながらも理屈にそった見通しと期待だ。船体から海に排出するのは水蒸気でも水でもまったく支障ないことも好ましい。

ただし、必ずしも「いいことづくめ」というわけではない。

脱炭素の新エネルギーを得るためには、炭素の排出が伴うという矛盾が立ちはだかっている事実から目を逸らすことは厳禁――新技術の開発によってCO2無排出も可能となり始めているが、まだ生産能力が十分ではない。

昨日(12月17日)、トヨタ自動車の豊田章男社長がメディアの取材に応じた際のコメントは非常に現実的で核心をつくものだった。なかでも、脱炭素への道のりは、EVやFCV普及の掛け声と動力の技術革新によるだけでは成らず、それを利器として実用可能とするために不可欠な燃料の問題を、ビークル製造企業や燃料事業者に丸投げされては困る。電気をはじめとする代替エネルギー生産と供給の安定化は、国を挙げての取組み無しでは叶わないのだ――という主旨の指摘は必聴だ。

(イメージ画像)

陸運におけるトラック依存からの脱却は鉄道への代替強化を意味している。さらにはそれら陸運に比して、一度の運搬容量と経済性には圧倒的有利な能力を有する海運。にもかかわらず、と毎度説明がなされてきたのは、活用を阻む要因のひとつに「所要時間」があったからだ。

しかしながら、それもターミナルの改修やそこからの接続ルートの整備や増加によって著しく短縮化が進んでいる。何よりも追い風となっているのは、物品の最終受領者である消費者の「コストと時間の組合せ選好」が大きく様変わりしつつある点だ。販売者や配達事業者からの合理的な事前説明によって、従来よりも長い受領までの時間が許容されるようになるだろう。

待てば海路の日和あり、とはまさにこのことではないか。と、好意的に受け止める消費者の増加を確信している。(企画編集委員・永田利紀)