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トラック予約受付・バース管理システム特集

トラック予約・バース管理システム関心度ランキング

2021年7月27日 (火)

話題LOGISTICS TODAY編集部が7月12日から16日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「トラック予約受付・バース管理システムに関する実態調査」(有効回答数904件、回答率31.2%)の結果、49.2%とほぼ半数がトラックの予約受付やバース管理の機能を持つITサービスの導入に関心を持っていることが分かった。(編集部特別取材班)

「物流DX」の波を受けてどんなITサービスに期待するか

前回の記事では、物流拠点周辺で発生しているトラックの滞留(荷待ち)に対する課題認識やその発生原因、トラック滞留以外の課題について考えた。過半数が「課題」と捉え、その原因については「倉庫オペレーションの組み立てに問題があるから」「滞留を予防・改善するためのITシステム(トラック予約システムなど)が導入されていないから」との回答が目立った。トラック滞留以外の課題については、倉庫の内外における業務連携を指摘する声が多かった。

拠点周辺のトラック荷待ち発生原因、その対策は(21年7月20日公開)
https://www.logi-today.com/444913

物流現場へのITサービス「待望論」が、決して少数でないことは分かった。それでは、こうした課題を踏まえた解決策として、トラック予約受付やバース管理機能を持つどのサービスに関心が集まっているのだろうか。物流現場の抱える人手不足やデジタル化の遅れなどの構造的課題への対応として、「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」のキーワードが急速に広がり始めている。AI(人工知能)などを活用したIT化により、物流の効率化を一気に進め、現場の課題を解決しようというものだ。トラック予約受付やバース管理機能を持つITサービスは、ここ数年で急速に開発が進んだが、どんな機能が期待を集めているのか。

「MOVO」に圧倒的な高い関心


調査結果で、圧倒的な差をつけてトップだったのが、Hacobu(ハコブ)の「MOVO」(ムーボ)で33.5%を占めた。MOVOは、「運ぶを最適化する」のキャッチフレーズで多くの導入事例を持つクラウド型物流ソリューションだ。車両待機の解消や入出荷作業の効率化につなげるトラック予約受付サービス「MOVO Berth」(ムーボバース)をはじめ、動態管理サービスの「MOVO Fleet」(ムーボフリート)、配車管理サービスの「MOVO Dispatch」(ムーボディスパッチ)などを展開している。

「使いやすさ」に関心、連携機能の充実も一定の支持

続いで関心が高かったのが、モノフルの「トラック簿」(13.7%)と日本ユニシスの「SmartTransport」(13.5%)。最適物流の実現に向けたシステム構築に強みを持つモノフルは、「トラック簿」の開発にあたって、データの蓄積や分析に基づくバース混雑解消やデジタル仕様の入退場管理、業務工数の削減などのオペレーションを可能とするシステムを作り上げた。こうした現場を意識したきめ細かなシステム機能が、関心を集めているようだ。

ロジクリエイトの「Li-SO」(リソ、12.8%)や、日本加工食品卸協会のトラックバース管理システム「N-torus」(エヌ・トーラス、12.7%)も、現場での使いやすさが高い支持を得る要因になっている。物流現場の担当者には、高齢のベテランが座っていることも少なくない。デジタル化に戸惑いながらの作業に悩むケースも少なくないとの声から、多彩な機能を平易に操作できる仕様を心がけた。

一方で、連携機能を充実させたサービスも、一定の支持を得ているようだ。ETCやナンバープレートを用いた入退場管理や、入出庫を支援するAGVとの連携機能を持つシーイーシーの「LogiPull」(ロジプル、9.5%)はその代表例であり、NECソリューションイノベータの「ULTRAFIX」(ウルトラフィックス、10.6%)も関心を集めた。

なお、関心のあるITサービスにかかる回答状況については、荷主企業とそれ以外の企業で同様の傾向が見られた。

物流現場はITの力で課題解決に

消費動向の多様化にコロナ禍が重なり、宅配サービスはすっかり国民に定着した感がある。自宅やオフィスなどに商品を届けてもらう、つまり「物流」に依存するライフスタイルが違和感のない存在となった今、物流現場の抱えてきた課題が一気に噴き出している。トラック滞留も、こうした状況の一側面なのだ。物流企業や荷主企業は、こうした課題に対処するため、ITの力を試そうとしているのかもしれない。

続いて、トラック予約受付やバース管理機能を持つITサービスの導入の意思について掘り下げていく。2021年8月3日公開、「半数がトラック予約受付システム導入を『検討』」に続く。

トラック予約受付・バース管理システム一覧表のダウンロード
(LOGISTICS TODAY編集部作成)