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トラック予約受付・バース管理システム特集

半数がトラック予約受付システム導入を「検討」

2021年8月3日 (火)

話題LOGISTICS TODAY編集部が7月12日から16日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「トラック予約受付・バース管理システムに関する実態調査」(有効回答数904件、回答率31.2%)の結果、49.2%とほぼ半数がトラックの予約受付やバース管理の機能を持つITサービスの導入に関心を持っていることが分かった。

ここでは、トラックの予約受付やバース管理の機能を持つITサービスの導入に対する「本気度」について調べた。(編集部特別取材班)

具体的な導入実績は「ない」が過半数に

前回の記事で、トラック予約受付やバース管理機能を持つITサービスのなかで、特に関心のあるものを投票した結果についてまとめた。こうした機能を持つサービスでは知名度も高いHacobuの「MOVO」(ムーボ)が高い関心を集めていること、さらに他社のサービスでは「操作の分かりやすさ」が重視されていることも分かった。多様な人材が入れ替わる物流現場へのシステム導入は、機能やスペックの高さもさることながら、操作性のよさも重要なファクターであることがうかがえる。

トラック予約・バース管理システム関心度ランキング(21年7月27日公開)
https://www.logi-today.com/446278

それでは、実際の導入実績についてはどうだろう。いずれかの拠点でトラック予約受付やバース管理の機能を持つITサービスの導入実績の有無を聞いた設問で、54%が「ない」と回答。「ある」は25.4%と全体の4分の1にとどまった。「ある」との回答者に対して、現在も継続して利用しているか問うたところ、93.8%が「継続して使用している」と回答し、「継続して使用していない」との答えはなかった。一度導入すれば現場のさまざまな悩みを解決してくれるであろうITサービスも、いざ導入を決断するとなると、設備投資の拠出に二の足を踏む企業が多いということだろうか。

将来の導入検討は「積極的」「消極的」で半々に

将来の導入検討についてはどう見ているのか。トラック予約受付やバース管理の機能を持つITサービスについて、新たに導入を検討する可能性についての設問では、50.8%とほぼ半数が「ない」と回答。「ある」と明言した回答は22.2%にとどまった。とはいえ、「試験的に導入して判断したい」と導入への意欲のある回答も27%あり、最終的にはちょうど半数で分け合った形だ。

この設問に対する回答について、同様に「トラック予約受付・バース管理システム特集(上)」の記事で取り上げた、トラック滞留状況についての回答を組み合わせて分析した。ITサービス導入に積極的な回答をした割合は、トラック滞留が「すべての拠点で発生している」企業の53.9%、「一部の拠点で発生している」企業の58.9%、「恒常的に発生している」企業の69.3%、「常にではないが、頻繁に発生している」企業の65.2%と、いずれも半数を大きく超えた。トラック滞留を課題として認識している企業ほど、こうしたITサービスの導入に向けて具体的に検討している割合が高いことが改めて判明した。


ITサービス導入のポイントは「コスト」「運用の容易さ」

こうしたITサービスの導入において重視する点と重視しない点について聞いたところ、重視する点で高い回答率を示したのが、「コスト(1年間にかかる費用の総額)」と「運用の容易さ」で同数。「ドライバーにとっての使いやすさ」と「サポート体制」が続いた。コストは利潤を追求する民間企業である以上は当然の基準と言えようが、ここでも「容易さ」を指摘する声が多かったのは、先述の傾向と合致する。

一方、重視しない点については、「構内の車両誘導機能があるか」「入退場管理機能があるか」「トラック予約受付以外の機能が付帯していないシンプルな構成かどうか」の回答が目立った。ITサービス開発企業には皮肉な結果だが、機能のスペックの充実さよりも、まずは低コストと使い勝手の良さが導入の決め手なのだろう。ただし、「重視しない」が「重視する」を上回った機能はなく、少なくとも3割から4割の事業者には充実したスペックが必要とされていることも忘れてはならない。

2021年8月3日公開、「課題解決のための物流DXを経営層は断行できるか」に続く。

トラック予約受付・バース管理システム一覧表のダウンロード
(LOGISTICS TODAY編集部作成)