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「トラック予約受付・バース管理システム特集」考察

課題解決のための物流DXを経営層は断行できるか

2021年8月3日 (火)

話題LOGISTICS TODAY編集部は、ことし7月12日から16日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「トラック予約受付・バース管理システムに関する実態調査」に基づく特集記事を、3回に分けて掲載した。トラック予約受付・バース管理システムの導入について、半数近くから前向きな回答を得た。その背景には、物流施設の周辺で発生するトラックの「荷待ち」が依然として高い頻度で発生している現実があり、その原因として倉庫運営のまずさを指摘する声も多く上がった。

「トラック予約受付・バース管理システム特集」調査記事へのリンク

消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染症の拡大で宅配ニーズが高まり、物流現場で取り扱う物量が膨らむなかで、事業者が一定の投資を覚悟で物流DX(デジタルトランスフォーメーション)に踏み切ろうとしている苦悩が浮かぶ。物流現場はこの先数年で、劇的に変貌を遂げるのか。今後も注目していくべきテーマだ。

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今回の特集は、物流施設におけるトラック予約受付やバース管理システムの機能を持つITサービスについて考えた。アンケート調査の結果として浮かんできたのは、「トラック滞留などの課題を解決するためのITサービスには関心がある。ただし、導入する決断をするには、コストと使いやすさが条件だ」という物流企業や荷主企業の意思だった。

ひっ迫の様相を呈する物流現場の課題解決策として注目される、物流DXという発想。先行投資という名のコストをかけてでも、長期的な業務効率化・省人化につなげるのか。トラック滞留や倉庫の内外の業務連携はどうするのか。今回の調査からは、物流業界のジレンマとも言えるような課題解決の難しさが垣間見える結果が出た。

トラックのスムーズな出入り、構内の円滑な流動性の確保は、施設のブランド価値を左右する課題と言えるだろう。東京湾岸や首都圏内陸部でしのぎを削る物流施設の新設競争は、まさにこうしたトラック予約受付やバース管理機能の高さを競っているように見える。まさに、そこが物流施設の成否を握るポイントであると認識しているからにほかならない。

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「物流は経営戦略そのものだ」。こうした認識が、産業界で急速に広がり始めている。言い換えれば、物流現場の課題解決は、経営者が断行して進めるべき領域になっているということだ。今回の調査対象としたトラック予約受付やバース管理システムも、倉庫の効率的な運営に不可欠な物流DXの取り組みだ。現場の課題が明確である以上は、経営層にとっては早急に対処すべきテーマであるはずだ。今回の調査結果の数字からは、こうした現場の声が聞こえてきそうだ。

今回の調査は、物流現場におけるトラックの滞留対策やバース管理の視点から、課題認識と対応策について考察した。LOGISTICS TODAYは、今後もさまざまな角度から物流ビジネスの抱える課題を抽出し、その解決に向けて提言していくことで、物流業界の健全な発展を支援していく所存である。(編集部・清水直樹)