ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

オートマギが独自の物流業務実態調査

ITによる効率化「できている」企業は1割満たず

2021年8月17日 (火)

調査・データAI(人工知能)技術を用いた物流向けソリューションなどを提供するAutomagi(オートマギ、東京都新宿区)は17日、独自に実施した「物流業界の効率化実態調査」の結果を発表した。ITを活用した物流業務の効率化について「すべてできている」と回答した企業は1割に満たず、市場には多種多様な物流業務効率化ツールがあふれる一方で、現場への浸透はそれほど進んでいない実態が明らかになった。

同調査は、物流業務に従事する20代以上の315人に対し、7月下旬にインターネットによるアンケートで実施したもの。勤務先の業務効率化について「必要な物流業務を全て効率化できている」と回答した企業は最も少ない6.3%で、「一部の業務を効率化できているが、さらに取り組んでいく必要がある」(31.1%)と合わせても4割に満たなかった。

一方、「まだ業務効率化に取り組めていないが、必要だと感じている」は29.8%、「業務効率化は必要ないと感じており、特に取り組みも行っていない」は9.8%で、合わせて4割の会社において業務効率化が全く進んでいないことも判明。なお、残りの22.9%は「分からない」と回答しており、ITツールを導入していたとしても、効果を実感できていない可能性がある。

なお、業務別では「効率化している」と回答した企業が最も多かった「配送料金の算出」でも10.5%にとどまり、以下は「出荷指示書や納品書の作成業務」が7%、「荷物の検品・仕分け業務」が6.7%で続いた。最も少なかった「荷物の加工・梱包・包装業務」はわずか1%だった。

なお、ITを活用して「荷物のサイズ計測・荷物情報の収集・管理作業」を効率化できていると回答した企業は6.3%。荷物情報管理の効率化が進んでいない状況が明らかになった一方で、「荷物情報の取得・管理業務の効率化を進めたい」と回答した企業は80%に上った。

高齢化する現場向けのツールを開発できるか

オートマギは、物流業界における業務効率化が進んでいない理由として「現場の従業員の高齢化が進み、ITに対する馴染みの薄さや抵抗感から、業務のIT化に至らないケースが多い」と語る。一方で、経営者が業務の効率化推進を経営方針として掲げ、従業員がその方針や理念に基づき行動できる場合は、効率化が進みやすいとの見方を示す。

企業が新たにサービスを導入する際には価格の安さなども大事だ。しかし、いかにして従業員が苦痛を感じずに重い腰を上げられるようにするかが、やはり大きなポイントといえるだろう。

「荷物情報管理の効率化こそ物流業務効率化の基礎」と述べるオートマギは、そのためのITツールとして、AI画像認識によるサイズ計測アプリ「Logi measure」(ロジメジャー)を提供している。開発に当たってはITに不慣れな層にも使いやすい、シンプルなUI(ユーザーインターフェース)を心がけたというが、そのような努力を一つずつ積み上げることこそが、最終的には人を動かし、評価につながると感じる。IT導入ありきでは失敗する。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するにあたって、はまってはいけない「落とし穴」なのが、まさにそこだ。(編集部・行松孝純)