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日通、台湾現法が桃園市に高機能物流拠点を新設

2021年9月6日 (月)

物流拠点「NEXT3倉庫」(出所:日本通運)

国際日本通運は6日、台湾現地法人の台湾日通国際物流(台湾日通)がことし5月に桃園市に物流拠点を新設し、7月末に化粧品・医薬品・医療機器の営業許可を取得したと発表した。国際空港を抱え製造業を中心に多くの企業が立地する桃園市に先進的な物流拠点を置くことにより、豊富な物流ビジネス機会の獲得を目指す。

台湾最大の台湾桃園国際空港で知られる台湾北部の桃園市は、台湾最大の人口集積地である台北都市圏にも近く、台北港や基隆港などへのアクセスも良い一方で、自然災害が比較的少なく人口増加が続いているエリアであり、物流拠点に適した立地だ。

今回新設した物流拠点は、大都市圏に近接する優位性を活かして小売・EC関連の商材を取り扱うとともに、隣接し保税区画を有する日通グループの倉庫との一体運営により、保税貨物と非保税貨物を柔軟に保管することも可能となる。医薬品、医療機器、化粧品の保管・作業エリアを設置し、製品の適正管理を通して高品質な保管や流通加工サービスを提供する。鉄筋コンクリート造の地上4階建て。延床面積は8240平方メートル、うち倉庫面積は7420平方メートル。

成長市場でこそ「日本品質」を生かせ

日通の台湾現地法人が台湾北部の桃園市に物流拠点を新設したのは、アジアでも有数の成長市場である台湾で高品質な物流ビジネスの展開を加速することで、世界の物流企業との競争に勝ち抜く布石とするためだ。医薬品や医療機器など業界でも差別化を図れる領域で勝負する、まさに「日本品質」を前面に出した戦略と言える。

桃園市を含む台湾北部は、台湾桃園国際空港や台北港など国外貿易のゲートウェイとして機能しており、製造業の拠点が多く進出するアジアでも屈指の産業集積エリアだ。ここに日通グループが物流拠点を強化するメリットは極めて大きい。台湾メーカーは物流業務にも高い品質を要求しており、こうしたニーズに対応できる拠点を整備できるプレーヤーは、世界でもそう多くはないからだ。

ことし8月20日には、日中韓の3国で物流のあり方を議論する物流大臣会合が開催され、強靭な物流ネットワークの推進など3つの目標を含めた共同声明を採択した。東アジアの国際物流ネットワークからやや外れている感もある台湾だが、製造業では世界トップシェアを持つ製品群もあるなど、見逃せない市場なのは間違いない。日本との経済的な関係性も強く、良好な関係を維持する。中国との政治的な関係性も考慮すべきではあるが、台湾との物流ネットワークはもっと強固にしていく必要があるだろう。今回の日通現地法人の取り組みは、こうした観点からも歓迎すべき取り組みであり、今後も動向を注視していきたいテーマだ。(編集部・清水直樹)