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物流連、低・脱炭素化促進へ会員の情報共有強化

2021年9月14日 (火)

環境・CSR日本物流団体連合会(物流連)は14日、環境対策の中で物流企業の低炭素化や脱炭素化にフォーカスした情報共有の場として、会員企業を対象とした情報交換会を立ち上げることを明らかにした。

物流企業が今後、低炭素化や脱炭素化を迫られるとの見方が強まっていることを受け、物流連では経済産業省と国土交通省の共同開催による「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」でトラックEV(電気自動車)化への課題と要望を伝えるなど、物流業界として社会的な要請に対応していく動きを強化している。

そこで、9日に開いた物流環境対策委員会では国や産業界のニーズに対応する形で、これまでのような幅広い環境対策をテーマとするのではなく、低炭素化、脱炭素化に焦点を当てた講演会や会員同士の情報交換の場を立ち上げることにしたという。講演会には国土交通省の担当者や有識者を招く方針で、早ければ10月にもキックオフ会合を開き、来年3月までに3回程度実施する。

業界の総意を結集して脱炭素化への覚悟を示して

物流企業にとって、低炭素化や脱炭素化は避けて通れない命題だ。物流連が環境対策の中で、あえてこれらのテーマを設定した背景には、今後の成長にはCO2排出削減に本気で取り組むことが不可欠であるとの「覚悟」を業界全体に求めたからに他ならない。政府や物流連が環境対策を呼びかけても、なかなか具体的な動きが進まない現状を踏まえて、明確なキーワードを掲げて実効的な議論を求めたと言える。

物流業界でカーボンニュートラルの機運が高まっているのは事実だ。温度差こそあれ、各社が環境対応車両の導入に向けた実証実験の実施や、トラックの走行距離を短縮できるような配送ルートの策定など、地道な努力に励んでいる。課題なのは、こうした先進的な取り組みが水平方向に広がらないことだ。目に見えにくい環境対応よりも、人手不足や増加する一方の物量をさばくことに追われてしまうのは、仕方のないことかもしれない。

ここで、業界団体である物流連の力量が試される。事故や飲酒運転対策とともに、業界における重要課題として位置付けられるようになってきた脱炭素化。環境対応トラック導入への支援など、即物的な取り組みも必要だが、まずは環境対応が課題であるという「意識」を現場に注入することだ。今回の情報交換会は、こうした意識を醸成する第一歩になることを強く願う。物流連にとっても、ことし6月に発足した新体制が直面する大きな仕事になるだろう。(編集部・清水直樹)