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日本郵船、豪のカーボンクレジット販売企業に出資

2021年9月21日 (火)

環境・CSR日本郵船は21日、豪州で原生林再生プロジェクトを通じた二酸化炭素の吸収とカーボンクレジットの販売を手掛けるAustralian Integrated Carbon(AIC)への出資参画について、AICと日本郵船の株主である三菱商事と合意したと発表した。関係当局による承認が完了し次第、三菱商事が設立した中間持ち株会社Japan Integrated Carbon(JIC)を通して、AICに共同出資する。

船舶からの温室効果ガス排出量をゼロにするため、海運業界では船舶用燃料をまずは重油からLNG(液化天然ガス)への転換、さらに水素やアンモニアといった次世代のゼロエミッション燃料に向けて研究開発が進んでいる。一方でライフサイクルが長い船舶においては、ゼロエミッション燃料の実用化に目途がついてからも、全世界で5万隻を超える船舶のなかではゼロエミッション燃料への移行の過程で引き続き化石燃料の使用を余儀なくされる船舶が残されることが見込まれる。将来的にゼロエミッション燃料の導入が未済の船舶が残された場合には、カーボンオフセットの手法を活用することで、温室効果ガス排出量をネットゼロにすることが想定される。

日本郵船は、カーボンクレジット創出ビジネスの経験とノウハウを獲得し、世界の船舶の温室効果ガス排出量のネットゼロ化を支援することでESG経営を具現化できると考え、AICへの出資参画を決めた。

AICが手掛ける原生林再生プロジェクトは、過去の伐採や過放牧によって消失した原生林の再生を促すもので、農家の牧畜プロセス見直し・改善を通じて原生林を再生し大気中の二酸化炭素を吸収・固着することで、豪政府が公式に認証するカーボンクレジットを獲得して販売する。AICはポートフォリオの拡大を通じて、将来的に世界の二酸化炭素排出量の1億トン削減を目指す。

日本郵船は、今回の資本参画を足掛かりに、カーボンクレジット創出ビジネスの知見を獲得するとともに、豪州での事業拡大のほか、米国をはじめとした他地域へのプロジェクト展開も目指す。