ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

「国際物流総合展2021」出展者ランキング

物流展直前報告/注目を集めるブースはここだ

2021年10月6日 (水)

話題LOGISTICS TODAY編集部が9月24日から30日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者に対して実施した「国際物流総合展2021 INNOVATION EXPO」に関するニーズ調査(有効回答数837件、回答率26.3%)で、事業分野ごとに注目している出展者について質問した。社会における物流ニーズに対応した先進的な取り組みを推進するだけでなく、その内容を効果的に発信している企業ブースへの訪問意欲が高い傾向が見て取れた。

今回の調査における回答者の内訳は、荷主企業が29.8%、運送業が23.4%、3PL企業が18.1%、倉庫業が6.4%、その他が20.2%。(編集部特別取材班)

今回の調査では、主催者が設定した事業分野をLOGISTICS TODAY編集部が10のカテゴリーにまとめ、読者にINNOVATION EXPOで注目している出展者を選択してもらった。

情報機器・ソフトウェアは日立物流系と大手エレキ企業に注目集まる

まず「物流施設開発・投資/危機管理支援・リスクマネジメント分野」では、大和ハウス工業が49.2%でトップ。次いでプロロジスが39.0%、日本GLPが35.8%、三井不動産が24.4%、豊田通商が20.7%となった。多様な事業スキームを適用することで顧客の製品特徴に合わせた物流不動産ソリューションを展開する「Dプロジェクト」が注目を集める大和ハウス工業が、知名度も含めて首位に立った。

続いて「情報機器・ソフトウェア」は、日立物流ソフトウェアが37.5%と多くの注目を集めた。次いで、セイノー情報サービス(30.1%)、NEC(28.4%)、ゼンリン(20.1%)、日立ソリューションズ東日本(17.4%)の順だった。日立やNECなど、大手IT・エレクトロニクス企業の物流関連システムに注目が集まる一方で、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化を意識したシステム提供で実績のある日立物流系企業が広く着目されている。

ピッキングと搬送システムは1社で半数前後の高い注目度

「ピッキングシステム/仕分けシステム」は、IHI物流産業システムが33.6%と3分の1近くの注目を集めた。続いて、寺岡精工が21.2%、ギークプラスが19.4%、ラピュタロボティクスが17.8%、三菱商事と山善が15.5%で並んだ。デジタルピッキングシステムで定評のあるIHI物流産業システムは、米スタートアップ企業とAI(人工知能)を活用したピッキングシステムを開発するなど、他社のリソースを融合したシステム開発力が支持されているようだ。秤(はかり)の開発技術を応用したロジスティクスソリューション事業への参入で注目される計量器メーカーの寺岡精工も、知名度を高めてきている。

「搬送システム」は、トランコムが全体の38.9%を占め圧倒的な差をつけた。岡谷鋼機(17.8%)や西部電機(10.8%)が続いた。名古屋発祥の総合物流企業として知られるトランコムは、中国製AGV(無人搬送車)の販売・保守を手がけるスタートアップのChinoh.Ai(チノーAi)と2020年5月に資本業務提携を発表して話題を集めた。岡谷鋼機はクローラー型搬送ロボットを開発し資材搬送の省力化をアピール。西部電機は、製造工程間の立体搬送にスタッカクレーンを使用して完全自動化運転を実現したシステムに強みを持つ。

倉庫企業が独自の知名度で高い関心

日本通運が36.7%の注目を集めたのが「包装システム/保管・輸送サービス・保管機器システム」。月島倉庫が23.8%、souco(ソウコ)が18.7%で続いた。総合物流企業としての全方位での強さを反映していると見るべきか。原材料や素材、部品など製造業の物流を支えてきた老舗の月島倉庫は、倉庫業の現場だけでなく保管・輸送サービスにもそのノウハウを展開して業容を広げている。16年設立の物流マッチング企業であるsoucoは、初期費用ゼロで1日1個単位で使える倉庫のネットワークを提供。トランコムと連携した輸送サービスも展開するなど、新興企業ならではの機動力の高さでその名を知らしめるようになってきた。

「物流業務支援製品・サービス/3PL」は、サトー(23.3%)と三菱倉庫(21.4%)の2社が突き抜け、東京ロジファクトリーが13.5%で3番手につけた。現場起点の自動認識ソリューション開発企業として知られるサトーは、物流ビジネスでは超小型タグによるセンシング技術を輸送品質の確保につなげる取り組みが話題を呼んでいる。関西物流展では、ICチップによる荷物の温度管理可視化技術を披露した。三菱倉庫は、貨物の特性に合わせた保管管理や入出庫・輸配送の手配など、いわゆる倉庫業を起点とするビジネスに強みを持つ。東京ロジファクトリーは、首都圏配送に特化したドミナント戦略を支える在庫管理システム(WMS)で独自の輸配送システムを開発するなど、技術力にも定評がある。大学発ベンチャーとの連携にも積極的だ。

物流資材系は専業に強み

サンコーが25.3%と最大の注目を集めたのが、「運搬車両/トラック」分野。プラスチックパレットやコンテナなどの物流資材メーカーとしてあまりにも有名だが、物流コンサルタントなど物流トータルサポートサービスにも注力している。電動アシスト機能のある運搬台車は、ヨドバシカメラの公式サイトによる通信販売でも展開するなど、ユニークなビジネスモデルで知られる。

「パレット・コンテナ」では、日建リース工業が24.1%、日本パレットプールが22.7%で注目度をほぼ二分した結果となった。仮設資材レンタルビジネスの先駆者である日建リース工業は、「P.Revo」(Pレボ)のブランドでパレットレンタルシステムを展開。パレットの発注から返却までの全工程をオンライン上で完結できるのが特徴だ。GPS(全地球測位システム)内蔵のパレットを導入し、回収サービス付きのパレットレンタルサービスも展開する。日本パレットプールは、全国200か所にデポを整備し、顧客の多様なニーズに対応したサービス体制が強みだ。

やはり注目度高いキーエンス

「物流機器部品」ではキーエンスが38.4%を占め、一人勝ちの様相に。センサをはじめ画像処理やバーコード、マーキング機器など、物流業界でも幅広く導入が進む機器・部品メーカーで知られる。もちろん知名度は抜群だが、物流現場での実績も数多い。近年は海外のセンシングや情報判読の技術が普及し始めているが、いまだ圧倒的な存在感は健在だ。キーエンスに次いで注目を集めた中国のHIKROBOT(ハイクロボット、10.1%)は、世界トップクラスのAGVメーカーの地位を獲得している急成長企業だ。物流DX化の波に乗って一気に市場を席巻した。

最後に「企業誘致、空港港湾利用促進/出版・団体」分野は、日本ロジスティクスシステム協会が37.2%でトップ。日本物流システム機器協会が28.6%、日本パレット協会が27.0%で続いた。日本ロジスティクスシステム協会は、ロジスティクスの生産性向上による産業発展に寄与することを目的に設立された公益社団法人。関連企業の先進的・発展的な取り組み事例を紹介するイベントの開催や、普及啓発活動などを展開。物流関係者を中心にその活動が浸透していることを示している。日本パレット協会や日本物流システム機器協会は、それぞれの関連企業を中心に次世代の物流を推進する活動を独自に展開している。港湾として出展するブースで注目が高かった下関港(11.8%)は、海上輸送を活用したEC(電子商取引)や農水産品の新たな物流網構築を支援する新制度を創設して話題を呼んだ。

ここまで、出展者の注目度合いを調べてみた。知名度の高さや歴史の深さなどで関心の程度に差が出る傾向があるものの、やはり最近の激変を続ける物流業界において、いかに先進的で実効的なサービスやシステム、機器の強みを訴求できているか否かが、数字に表れたと見るのが妥当な見解のようだ。

次回は、INNOVATION EXPOのセミナー・フォーラムへの注目度や、国内物流業界の強みについて調べた結果をレポートする。

国際物流総合展のセミナー・フォーラム関心度ランキング
DX化など先進施策に高い注目、わが業界の「強み」に(21年10月11日公開)
https://www.logi-today.com/459919

■特集コンテンツ