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デジタル化で貿易業務の効率化を支援するShippio

見据える先は「サプライチェーン全体最適化」

2021年10月6日 (水)

話題自由貿易の拡大によって発展を続けてきた世界経済。その貿易額は、世界のGDP(国内総生産)総額の2割を占めるとも言われ、まさにグローバル化の象徴だ。世界中をめぐるモノの流れは、フォワーダーや荷主をはじめとする多くの人の手を介して動いていくのだが、そのプロセスに世界共通の課題があるのをご存じだろうか。

▲「国際貿易の効率化にはアナログ脱却が必須」と語る関本さん

「国際貿易の抱える最大の課題、それは『アナログ業務』からの脱却です」。そう話すのは、デジタルフォワーディングサービスを提供するShippio(シッピオ、東京都港区)の関本峻治・カスタマーリレーションズマネージャーだ。国際貿易と聞けば、インターネットを駆使したデジタル化が進んでいる世界かと思いきや、その実情は全く異なるという。「業務のほとんどが紙ベースです。貿易手続きは紙とExcel(エクセル)で作成された書類で管理され、連絡は電話やメールが主流です」。まさに伝言ゲームの世界だ。この背景には国籍や企業間の壁が、国際貿易業務における「共通ルール化」を阻んでいるという構図がある。

Shippioの佐藤孝徳社長は、三井物産でトレーディングを担当していた。国際貿易業務のこうした現状を目の当たりにして、クラウド上でのネットワーク化による業務効率向上を図るとの思いから、2016年にShippioを設立した。そこには、貿易業務の効率化だけではなく、貿易を誰もが参加しやすい業界にするとの決意が込められているという。

(イメージ)

とはいえ、長年の慣習で成り立っているアナログの壁をどうやって打ち破るのか。米国やドイツ、中国のような海外では、Shippioのようなデジタルフォワーディングサービスを展開するユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業)が生まれている。国内でも、業界横断で50社超が集まる貿易デジタル化に向けたコンソーシアムが立ち上がったり、今年国交省から発表された「総合物流施策大綱」でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が施策の中心に据えられるなど、貿易業務のデジタル化の機運が世界中で高まるなかで、Shippioは国内初のデジタルフォワーダーとしてテクノロジーを活用した貿易DXを主導している。

Shippioの展開するクラウドサービスは、「見積・発注」「スケジュールの一元管理」「貿易書類のクラウド管理」「チャット」の4つの機能で構成される。クラウドサービスの最大の強みは、一元管理と常に最新の情報の共有が可能なことだ。さらに、パンデミックの影響で海運市況が混乱しているなか、本船のトラッキング機能を提供しているところもポイントだ。「多くのお客様の動静管理・共有の工数が増加しているなか、最も速効性ある業務負荷軽減ソリューションとなっています」(関本さん)

▲Shippioのクラウドサービス画面。直感的で一覧性の高いデザインが特徴だ(クリックで拡大)

情報の入手経路が各企業でばらばらなうえ、それぞれが慣習的に続けてきた独自のスケジュール管理、さらにはそれが属人的で簡単に引き継げない業務になっている。しかし、物理的な貨物を扱う貿易業務において、ソフトウェアだけで解決できる課題は限定的だと指摘するのは、Shippioの真畑皓・カスタマーデベロップメントマネージャーだ。「ソフトウェアとオペレーションを一気通貫で提供することにより、荷主の貿易手配にかかるより大きな課題解決・効率化が可能になると思っています」

ここで、Shippioのクラウドサービスで業務効率化を実現した、化学大手の三菱ケミカルホールディングスグループの三菱ケミカルインフラテック(東京都中央区)の事例をみてみよう。貿易業務のデジタル化と、新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモートワークを前提とした業務体制の構築、さらにはオフィス移転を契機とした書類削減。業務効率化を図るためのサービスを模索中に、Shippioとの出会いがあった。貿易業務担当者は、メールの件名などを工夫するなどして、山のような量の情報をなんとか自己管理してきたが、業務は煩雑を極め、抜け漏れも気がかりだったという。

Shippioのクラウドサービスによって、「情報を一元管理できる強みはもちろん、貿易業務全体の見える化が実現できることで、貿易業務に不慣れな販売先でも、画面で分かりやすく示せるメリットも実感できた」(担当者)という。従来のアナログタイプの業務では実現し得なかった、一元管理や見える化といったメリットを生かして、今では社内のDX施策を牽引する立場になっているという。

▲「ソフトウェアとオペレーションを一気通貫で提供できること、それがShippioの強み」と話す真畑さん

こうしたShippioのクラウドサービスは、東京ビッグサイトで10月13日から3日間開催される「国際物流総合展」で体感できる。Shippioは出展ブースで、クラウドサービスの新機能を公開する予定だ。「Shippioのプラットフォームは、これまで当社と荷主企業の間だけのものでした。そこに、パートナー企業もログインできる機能を追加することにしたのです」(真畑さん)。荷主よりも後工程に位置する企業の担当者にもプラットフォーム参加してもらうことで、Shippioから荷主を介して伝えていた商品の納品スケジュールなどの情報を、三者で同時に共有できるようにしたのだ。

「現状では、Shippioとパートナー企業の間で荷主がメッセンジャーとして伝書鳩のような役割を演じなければならなかったのですが、その手間を省くことができることのメリットに着目したのです」。関本さんは、Shippioの仕事の究極の姿は「サプライチェーンの全体最適化」と言い切る。貿易業務のデジタル化はあくまで中間地点。はるか先のゴールを見据えて、さらに大きな使命を果たすために、Shippioは新たな航路を切り開いていくのだ。

Shippioサービス紹介ページ
Shippio「国際物流総合展2021」出展案内
展示ブース:B-513
展示内容:クラウドサービス新機能の紹介

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