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アンモニア燃料の大型アンモニア輸送船を3社開発

2021年11月4日 (木)

▲大型アンモニア輸送船のイメージ(出所:三菱重工業)

荷主三菱重工業グループの三菱造船(横浜市西区)は4日、商船三井と名村造船所の2社と、アンモニアを燃料として航行する大型のアンモニア輸送船を共同開発すると発表した。次世代エネルギー源として注目されるアンモニアを大量輸送できる船舶を、アンモニア燃料の仕様で建造することにより、脱炭素化の推進につなげる。

現在は肥料原料としての利用が中心で海上輸送量も限定的なアンモニアは、高品質で安定的なクリーンエネルギーとして注目を集める。3社は、アンモニアを燃料とする大型輸送船の導入により、アンモニアの海上輸送量増大を目指して3社共同で船舶の基本設計を進める。

三菱造船は最適なカーゴタンクの設計をはじめ、デッキタンクの開発や機関構成の検討に着手するほか、燃料供給装置の搭載や特殊艤装・荷役装置、安全装置の搭載などにかかる設計を担当する。

燃料としてのアンモニアは、燃焼時にCO2を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして将来的な需要増が見込まれており、海洋産業バリューチェーンが脱炭素へと移行するなかで、海上物流に適した長期的な解決策として期待される。国内においても、アンモニアはカーボンニュートラル実現に向けた有力な選択肢として位置付けられており、火力発電所における既存燃料との置き換えや水素キャリアとしての活用などで需要の増加が見込まれる。

現在、世界におけるCO2排出量の3%を海事業界が占めており、他産業における脱炭素化への取り組みが進むのに伴い、その割合は増加する可能性が高い。三菱造船は、グループが戦略的に取り組む低環境負荷エネルギーへの転換策の一環として、これまでの輸送船建造で培ったアンモニアハンドリング技術や知見を結集し、海洋システムインテグレーターとして海事業界における脱炭素化を推進してカーボンニュートラル実現に寄与するとともに、世界規模での環境負荷低減に貢献していく。