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ヤマト、検査試薬の超低温度帯による混載輸送開始

2021年12月24日 (金)

ロジスティクスヤマト運輸(東京都中央区)とシスメックスは23日、体外診断用医薬品の業界で国内初となる、遺伝子検査用試薬の超低温帯による混載輸送を始めたと発表した。

神戸市内のシスメックスの拠点から川崎市内の検査機関まで、遺伝子検査用試薬をマイナス70度の超低温帯で運ぶ。厳格な品質・温度管理が必要な医薬品などのマイナス70度の超低温帯での長距離輸送について、不可欠とされていたドライアイスを一切使用しないことで、環境への配慮と低コストを両立した画期的なモデルとして注目を集めそうだ。

シスメックスは、厳格な品質・温度管理が必要な遺伝子検査用試薬をチャーターなど専用便で輸送しており、輸送コストや流通の柔軟性・利便性が課題となっていた。輸送時に活用しているドライアイスは、石油精製の過程で排出されるCO2などを原料としており、環境配慮や安定的な調達、調達価格の高騰などの観点から、改善に向けた施策を検討していた。

ヤマト運輸とシスメックスは、この課題の解決と遺伝子検査用試薬の医療現場への安定供給を目指し、ことし2月にドライアイス使用量を50%削減した超低温帯での混載輸送を開始した。このたび、さらなる環境負荷低減を図るためドライアイスの代替として超低温の冷凍庫で凍結した保冷剤を活用して輸送の実証実験を実施。ドライアイス使用時よりも高い保冷性能が確認できた。

ヤマト運輸とシスメックスは、今回の超低温度帯における遺伝子検査用試薬の混載輸送の開始を契機として、ドライアイスを使わずに医薬品などの長時間・長距離の輸送が可能なこのモデルを活用し、国内における対象品目・配送エリアを順次拡大していく。さらに、海外向け輸送への展開にも取り組み、高品質かつ安定した製品供給などコールドチェーンの進化に取り組む。

▲遺伝子検査用試薬輸送フロー(出所:ヤマト運輸、シスメックス)