｢SC・ロジ｣を2022年の重点領域に、展示会で訴求へ

話題「2022年、私たちは『サプライチェーン・ロジスティクス』を重点領域に掲げます」――。AI（人工知能）を活用した防災・危機管理ソリューションを展開するSpectee（スペクティ、東京都千代田区）は、リスク情報をリアルタイムに配信し「いつ」「どこで」「なに」が起きたのかを地図上で可視化するサービス「Spectee Pro」（スペクティプロ）を、自治体や報道機関に加えてメーカーや物流企業に提供する取り組みの強化を進めている。その足掛かりとして、年始早々に開催される物流関連の見本市に相次いで参加。メーカー視点でサプライチェーンのリスク管理を支援するソリューションを訴求する。

▲リスク情報をリアルタイムに配信し可視化するSpectee Pro

スペクティが参加するのは、「ロジスティクスソリューションフェア2022」（2月1日から2日まで、東京ビッグサイト）。スペクティは、先進的な物流システム・サービスを一堂に集めた見本市でスペクティプロの機能を披露することで、物流関連企業への認知向上と提案機会の獲得を一気に加速する狙いだ。

スペクティは、メーカーの物流部門や物流企業などサプライチェーンの担い手に対してリスクを可視化して早めの対応を促し、社会の「血液」である物流の途絶を回避する取り組みを積極的に訴求することで事業領域を拡大させる戦略を掲げ、22年にそれを加速させる考えだ。

▲Spectee Proによる速報配信の流れ（クリックで拡大、出所：スペクティ）

ここでサプライチェーンとロジスティクスに着目する狙いは何か。スぺクティの村上建治郎CEOは、物流を危機に追い込むリスクを回避する管理体制の重要性を理由に挙げる。「近年の災害の激甚化で、サプライチェーンの断絶がしばしば見られるようになりました。その結果、メーカーが大きな損害を被るケースも増えてきています」。さらに、物流現場の効率化進展による”副産物”として生まれるリスクも見られるようになったと指摘する。「現場の作業員が減少し、初期対応要員が希薄になったことで、これまでは最小限の被害に留まっていたリスクが膨らんでしまったケースも少なくないのです」（村上CEO）

▲サプライチェーン断絶リスクを回避する管理体制の重要性を説く村上建治郎CEO

その一例が、物流倉庫の被災だ。サプライチェーンの要衝となる倉庫がその機能を喪失すれば、供給網の川上から川下まで甚大な影響が及ぶ。こうした現象は東日本大震災でクローズアップされたが、その後も洪水や大雪、火災などによる同様の事例が後を絶たない。こうしたリスクの端緒となる情報を関係各所に迅速に周知できれば、被害を最小限に食い止めたり、代替策を講じる余地が生まれたりして、結果的にサプライチェーンの維持につなげることができないか。そこにスペクティは使命感を抱いている。

▲2021年11月末の大阪・舞洲で起きた倉庫火災はサプライチェーンに多大な影響を及ぼした

これまでは自治体やインフラ企業、報道機関などにこうしたリスク情報を、SNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）の分析などにより迅速に提供し、自然災害などによる被災リスクの回避につながる情報を提供してきた。スペクティは、メーカーや物流企業へこうした情報提供を進めることで、社会に不可欠なインフラである物流の途絶回避につなげようとしている。

「メーカーや物流企業は、自身や顧客に関係した拠点にかかる情報を迅速に得たいとのニーズが非常に高いと感じています。特定の場所におけるリスクに敏感に反応する傾向が特徴であり、それに対応したソリューション提供が必要と考えています」（村上CEO）

スペクティは、提供する情報そのものの精度の向上にも努めている。現在、関係する企業などと連携して実証実験を進めているのが、SNS以外の情報の分析によるリスクの可視化だ。「道路カメラや車載カメラの画像分析による路面状況の把握です。積雪や凍結など、トラック車両の運行に支障をきたす路面状況をいち早くキャッチできるシステムの開発を進めています。早ければ22年末にも、道路定点観測型のカメラによる情報分析の実用化を目指しています」（村上CEO）

▲路面の凍結状況を視認するサービスのイメージ

社会インフラである物流を支えるパートナーでありたい。それがスペクティの手掛ける物流DX（デジタルトランスフォーメーション）の「ありたい姿」だ。

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