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C&W報告、世界的サプライチェーン混乱続く見込み

2022年1月19日 (水)

調査・データ不動産サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W、東京都千代田区)はこのほど、物流不動産賃貸事業の責任者を務める高塚弘樹氏の物流市況に関するレポートを公表した。新型コロナウイルスのオミクロン株拡大が影響し、「世界的なサプライチェーンの混乱は当面続く見込み」と分析している。

レポートによると、混乱の要因として、原油価格の高騰やコンテナ不足、頻発する異常気象が、特に国際海運や空運の価格高騰を長期化させていると指摘。コロナ感染症の「第6波」のピークが5月以降になるとの予測を踏まえ、「少なくとも2022年上半期以降までは混乱が続く」と予想している。

(イメージ)

国内EC(電子商取引)市場については、欧米や中韓と比べて見劣りするものの、BtoCの物販などで成長が続いているとの見方を示した。一方で、食料品のEC化率は3.3%にとどまり、実店舗での購入以外の選択肢が浸透していない実態に言及。今後はオンライン上での新たなプラットフォームや小売専門店の増加が、市場拡大のカギを握るとした。

国内の物流施設の賃料に関しては、依然として上昇傾向にあると指摘。平均の想定成約賃料は東京湾岸で前年同期比4.2%増の7500円、圏央道茨城は同3.1%増の3300円、神奈川内陸で同2.2%増の4600円。大阪圏では、エリア平均で前年同期比0.8%増で、特に大阪内陸は同2.3%増の4500円だったと事例を挙げた。

2021年下半期で供給面積が最大だった国道16号沿線では、「DPL流山IV」や「GLP ALFALINK流山8」などの大型施設が相次いで完成。EC関連テナントの入居が目立っている。中でも流山エリアは大型物流施設が集積しつつあり、今後2年間で5棟、総延床17.4万坪(57万4200平方メートル)の供給が予定されており「流山(国道16号沿線)の空室率は一時的な上昇が予想される」とした。

とはいえ、深刻な労働力不足に対処できる将来人口の増加、若い人口構成、都心にアクセスしやすい立地環境などの構造的優位性から、エリアの空室面積も徐々に吸収され、今後2年間の首都圏の空室率も5%以下で推移すると予測している。