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京大発・風計測ベンチャーに物流・運輸3社が出資

2022年4月12日 (火)

(イメージ)

財務・人事「空の風を3次元で可視化する」という京都大学発ベンチャー「メトロウェザー」(京都府宇治市)の開発事業に、運輸・物流業界からも3社が参画する。ドローンによる宅配や化石燃料に頼らない海運など、各社それぞれの課題解決に、風の活用で挑む。

メトロウェザーの8日の発表によると、同社が研究開発費7億円の資金調達のために行う第三者割当増資を、投資ファンドを含む国内12社が引き受け、業務面でも連携する。その中に、運輸・物流業界からヤマトホールディングス(ヤマトHD)、商船三井系のベンチャーキャピタル「MOL PLUS」(MOLプラス、東京都港区)、JR東日本系の同「JR東日本スタートアップ」(同区)が入った。それぞれの出資額は非公表。

メトロウェザーは「ドップラー・ライダー」と呼ばれる風況計測装置を開発している。大気中にレーザ光を発射し、塵や微粒子からの反射光を受信して風速・風向を観測。目に見えない大気の流れを可視化する。従来品より小型、軽量、低価格で、様々な産業用途を探っている。

▲連携する各社の事業領域(出所:メトロウェザー)

ドローンを活用した宅配を目指しているヤマトHDは、安全運行のため、メトロウェザーが持つ気象観測や風況データ活用のノウハウに関心を寄せる。ドップラー・ライダーは不可欠な技術と評価している。

MOLプラスは親会社の商船三井のヨットに搭載し、海上での風況実測に取り組む。ネットゼロ・エミッションを経営目標に掲げる商船三井グループは、別の企業との間でバルクキャリアの運航に帆を使う研究も進めている。海運への風力活用を広げるため、メトロウェザーとの業務提携も積極的に推進する方針だ。

JR東日本スタートアップはすでにメトロウェザーと線路内支障物を確認する実証実験を進めており、今後は自動運転や線路周辺の風況計測にもドップラー・ライダーの活用を目指す考えだ。