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「危険物倉庫緊急サミット」迫真レポート/第7回

2022年5月31日 (火)

話題LOGISTICS TODAY(東京都新宿区)が5月19日開催したオンラインセミナー「危険物倉庫緊急サミット」の迫真レポート。第7回も、引き続き視聴者の多面的な質問に、豊富な経験を持つ登壇者が的確に答えていくシーンが続きます。


危険物倉庫内の温度管理、防爆仕様を念頭に

<LOGISTICS TODAY赤澤裕介編集長>
続いて三和建設様への質問です。「危険物倉庫内の温度管理をする場合、温度記録計などは防爆仕様は必須になりますか。また、空調設備がない危険物倉庫も多いと聞いておりますが、夏場の高温対策はどのようにされているのか、もしあれば事例をご説明していただけるとありがたいです」

<三和建設の松本孝文・大阪本店次長兼設計グループグループリーダー兼リソウコブランドマネジャー>
消防法の条文にそこまでの明記はされていないため、個別相談ということになるかと思いますが、基本的には防爆が求められます。防爆ロガーも売られているので、一般的には防爆仕様と考えられたほうがいいかと思います。最近の事例ですと、よく見られるのが屋根をダブルにした二重セッパンと言いますが、真ん中に断熱材を挟んだ屋根にする方法があります。太陽光を載せることで暑さ対策になります。

先月竣工してお引渡ししたものは、屋根の内側にアルミのシートを全面的に貼っていました。屋根からの熱を防ぐのと、屋根とアルミシートの間に空気層ができるので、温度を和らげることができます。そこのお客様も、空調を入れるかどうかで相談を受けていました。一旦この夏を過ごして温度の記録を取って、空調設備を入れるのであればその結果に沿ったものに。空調設備も防爆仕様はお金がかかります。

<赤澤氏>
プロロジス様への質問です。「倉庫建設を行う前に事前に情報共有をしてもらい、それに合う形の開発をしていくことですが、カスタマイズしたい危険物倉庫を建てれば、その後荷主が出ていったあとも、一定の危険物ならば保管できると考えていいのでしょうか。それとも、建設した倉庫の危険物保管可能条件が、新規荷主に適合しないこともあるのでしょうか」

<プロロジスエグゼクティブ・ディレクターの小出敦子コンストラクション・マネジメント部長>
当然、何を保管するかによって、消防で指導される消火設備は変わってきます。お客様が何を置くか、ということに基づいてまずは消防協議をスタートしています。しかし、必ずしもこれでないといけないというものよりも、いくつかの選択肢があります。もっとも汎用性のある消火設備を入れておくと、お客様が変わっても使える可能性が高いかなと考えております。ただ、お客様の中ではこれがいい、この消火設備がいいというように、保管品によって消火設備を「この中のどれがよくてもこれがいい」こともございますので、次のお客様に合わない場合は設備を入れ替える必要になってきます。

危険物倉庫を探すポイントは「タイミングを逃さないで」

<赤澤氏>
日立物流様に具体的な質問が来ています。
「茨城県古河市に多くの危険品があるのですが、現在、空きはありますか。また、プロロジス様の大きな敷地がございますが、新たに日立物流さんが計画する施設計画はありますでしょうか」。支障のない範囲でお答えいただければと思っております。

<日立物流ファインネクストの篠塚武人・営業企画本部営業開発部長>
危険物倉庫がなくてなかなか提案にいたらないケースや、荷主にご迷惑をおかけしたケースがございますが、5月に古河市内に850坪の危険物倉庫をすでに調達しております。今まさに営業中ですので、ぜひご連絡をいただければ、先ほどあったように、危険物の種類が一致していればしっかり対応をさせてもらえればと思います。ただ、危険物の今の営業は、タイミングがちょっとずれただけで空きがなくなってしまったり、逆にビジネスチャンスを逃してしまったりします。もしご意思がございましたら、ぜひ日立物流ファインネクストまでご連絡をいただけると助かります。

<赤澤氏>
日立物流様に直接お問い合わせしていただくのが一番いいと思います。連絡手段がわからない方は、LOGISTICS TODAYに、この質問欄を通じてやっていただいても我々から日立物流さんに伝達させていただくことも可能でございます。

物件情報の獲得にはローカルネットワークが有効だ

<赤澤氏>
まだいくつか紹介できそうです。全体への質問を見ていきます。LOGISTICS TODAYで事前に展開したアンケートでも、似たようなご質問がございました。「危険品物流業界における標準化、あるいは共同化の余地についてどんな領域や取り組みが今後考えられるのでしょうか」。前半のパートでもそれに類するような話題がございました。これについて、皆さんにお伺いします。まずは建築の立場ではありますが、いろんなお客様に接しているので共同化の余地について、松本様はどういう風にご覧になっていますか。

<三和建設の松本孝文・大阪本店次長兼設計グループグループリーダー兼リソウコブランドマネジャー>
シェアリングの話に近いのかなと思うのですが、空きが出たり満床だったりというのは時期や波動があると思います。危険品を扱う物流業者さんで、ローカルなネットワークを持っているとはよく耳にします。そういうものがあれば効率的になるのではないかという話は聞いたことがあります。

<赤澤氏>
共同化や標準化については、シェアリングのところで視聴者様もなぜ日立物流様に聞かないのかと思われますが、最後に取ってあります。

例えば物流施設をシェアして使うという考え方は、プロロジスさんも代表的な考え方かなと思います。ただ、危険物の場合は事情が異なることもあろうかと思います。一方でこの質問のように、標準化、共同化というのもあります。考える余地はあるのでしょうか。今できることとできないこと、あるいは今後トライしていける可能性があるのであれば。そういうお話を佐藤様、よろしくお願いいたします。

<プロロジスエグゼクティブ・ディレクターの佐藤英征営業部長>
難易度が高いですね。現状、マルチテナント型施設に併設しているものですと、だいたい300坪がマックスになっています。その中で共同物流をしていくのはなかなか難しいものです。そういうときは小さな荷物が何個かある場合は物流会社様に、例えば日立物流様に「こういう荷物があるのですが、うちの倉庫を使ってなにかご検討いただけないでしょうか」と紹介をしてその区画をすべて借りていただいて、そこの中で共同物流をしてもらうという方法はあると思います。

もう一つは、後でご覧になっていただきますが、弊社の古河の施設はまだ開発余地が残っているので、そこで危険物倉庫群ということで複数倉庫を建てて1庫や複数庫お借りいただくといったことで標準化や共同化ができるのかなと思います。

「消費者に安全に届ける」ためのプラットフォーム化

<赤澤氏>
その可能性はありそうですよね。先程も茨城県で具体的な需要があるということもあったので、いろんな可能性はあると思います。では日立物流様、標準化・共同化の余地があるのかについて鍋島様、お願いします。

<日立物流の鍋島敦・営業開発本部サプライチェーン・ソリューション1部部長>
ちょっとテーマとは違うかもしれませんが、今日皆さんのいろんな専門的な知識で議論されていますが、最後は消費者に対し、いかに安全に届けることができるかだと思います。我々も悩んでいるところですが、あるところに新しい拠点を作ったんですが、今までと配送ルートが違うので料金が上がるとか、配送でもいろんな課題が起きているといいます。そういった課題は、我々だけでなくいろんな物流業者も同じだと思いますし、先程の冒頭でもあった強み弱みもしっかりと明確に。

先程篠塚がいったように、新しい850坪がありますよ、シェアリングしてくださいというのもあれば、プロロジスさんに共同対応というのもあります。我々にも「物流の2024年問題」に向かっていかに配送をやっていくかを考える専門的な部署があります。その中で危険品をどれだけ共販的にユーザーや消費者様にお届けできるかと考えています。これはいろんな物流業者さんにもお声掛けをいただきまして、プラットフォーム化できるような。日立物流にはインフラもそうですが物流エンジニアリング的な専門的な技術部隊がおります。そういったロケーションをどう作るのが一番いいのかなどを含めて、みなさんと議論をしていきたいと思っております。

<赤澤氏>
まだたくさんの設問がございますが、ここまで一問一答式で進めてきました。


第8回から第10回までは、登壇各社が取り組む危険物倉庫ビジネスをめぐる最新の動きを紹介していきます。

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