サービス・商品SPACECOOL(スペースクール、東京都港区)は9日、ゼロエネルギーで冷却できる放射冷却素材「SPACECOOL」を活用し、日野自動車や鴻池運輸、鈴与(静岡市清水区)、エコトラック(大阪府門真市)など物流関連のパートナー12社と実証実験を開始したと発表した。
実証実験は、暑熱環境改善やカーボンニュートラル実現など物流業界の抱える課題解決を図る狙い。パートナーが保有する冷凍・冷蔵車や常温のトラック車両の荷台の天面や側面に本素材を貼り付けて、荷台内部の温度上昇の抑止効果や燃費改善効果をこの夏の期間に評価する。
スペースクールは今回の実証を通じて、物流業界が抱える課題を解決できることを具体的に示すとともに、物流業界が保有するトラックや物流倉庫などへの本素材の普及を進める。
実証に使うのは、直射日光下において太陽光と大気からの熱をブロックし熱吸収を抑えるだけではなく、放射冷却技術の原理により熱を逃がすことで、エネルギーを用いずに外気温よりも温度を下げる放射冷却素材。高性能・高耐久のしなやかな光学フィルムだ。
スペースクールは、2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が実施する「夢洲(ゆめしま)における実証実験」に大阪ガスを代表法人として採択され、21年8月から夢洲万博会場予定地や大阪ガスのエネルギー技術研究所などで、2トントラックの荷台の外装に放射冷却素材を施工し、荷台内部の温度上昇を抑制する効果を検証。その結果、天井温度は40度程度、内部温度は10度程度低下することが確認されたという。
放射冷却素材は粘着剤付きのフィルムであるため、トラック車両の荷台に短時間で容易に直接貼り付けることが可能。上からインクジェットプリンターやレーザープリンターでデザインを施すこともできる。