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物流効率化ICTソリューション「LogiPull」でトラック待機を削減しホワイト物流実現へ

CEC、トラック待機の「真因」を見据えた全体最適化

2022年7月4日 (月)

話題物流倉庫の入り口に、夜が明けないうちから並び始める大型トラック。年末を中心とする繁忙期を迎えた物流業界の象徴として認識されてきたこの風景も、今や季節を問わない社会現象となり、トラックドライバーの長時間労働の象徴として対応を迫られる動きも急速に広がってきた。

こうした物流倉庫におけるトラックの待機時間の削減にどう対応するか。EC(電子商取引)サービスの急速な普及や新型コロナウイルス感染拡大を背景とした宅配ニーズの高まりで、物流倉庫で取り扱う荷物の量や種類が急増。トラックの長時間待機が通年化しつつある主な要因もそこにある。

いわゆる物流倉庫における「バース管理の自動化」。このテーマに着目して、トラック待機時間の削減による物流最適化ソリューションの開発に取り組むのが、ITシステム開発のシーイーシー(CEC)だ。物流業界でIT企業をはじめとする多くの企業が参入するバース管理システム市場で、CECはトラック待機問題の解決を端緒とした物流倉庫業務の全体最適を実現する観点を明確化。独自の哲学に基づく、より実効性の高いシステムの構築を進めている。

バース管理システムは、果たしてトラック待機削減に有効なのか

物流倉庫の周辺道路に生じる入荷待ちトラックの長蛇の列。ドライバーの就労環境はもちろん、近隣の生活環境にも悪影響を及ぼすこうした現象は、もはや深刻な社会問題であるのは言うまでもない。こうした状況に対応できる物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の施策の一つとして物流業界で普及し始めているのが、いわゆるバース管理システムだ。

朝一番で物流倉庫の入り口に並ぶトラックの入場をシステム化。入場を予約制とすることで「早い者勝ち」の行列をなくすとともに、ドライバーの負担軽減と業務効率化を実現する取り組みだ。

入場を予約制にすれば、いわゆる「早い者勝ち」の競争をなくすことで、トラック待機時間の削減に一定の成果が出る。そのロジックに誤りはないのだろう。それでは、なぜトラックは早い者勝ちで物流倉庫に押し寄せるのだろうか。ドライバーだって、好んで一番乗りを臨んでいるわけではあるまい。むしろ、ただでさえ長時間勤務を強いられる現状で、少しでも短い時間で入出荷業務を終えたいのが本音だろう。

「トラック待機現象が生じるのは、『早い者勝ち』だけが原因ではない。こうした動きを誘発する動機にこそ、真因があるのではないか」。こうしたトラック待機問題の真の原因の追求とその改善により、トラック待機時間の削減を含めた物流効率化ソリューションを生み出せるのではないか。CECが着目したのは、まさにそこだった。

CECがたどり着いたトラック待機の真因、「倉庫側の生産性向上」

それでは、トラック待機をもたらす要因とは何か。ドライバーは倉庫に入場すると、荷物の積み降ろしや検品など多様な業務をこなす。時間指定納品など、決まった時間に倉庫に向かう必要がある業務も増えているのが実情だ。

▲「倉庫側の生産性向上によるトラックドライバーの倉庫滞在時間の短縮が、LogiPullを開発した哲学だ」と語る西山充氏

倉庫内における業務効率を高めることでドライバーの倉庫での滞在時間を短縮し、結果としてトラック待機時間の抑制に結びつくのではないか――。「こうした仮説から、トラック待機削減に向けたバース管理自動化システムの開発方針をまとめていったのです」。エリア統括事業本部西日本サービス事業部の西山充・第二サービス部グループマネジャーは振り返る。つまり、トラック待機時間を削減するシステムを作り上げるためには、倉庫内業務の生産性を向上する機能を組み合わせる必要があると考えたのだ。

2018年に提供を開始したシステム「LogiPull」(ロジプル)は、決してトラック待機時間を削減するシステムではない。むしろ、それを基軸に倉庫内業務の効率化を含めた物流効率化ICT(情報通信技術)ソリューションとして仕上げたところに、CECのこだわりがある。「倉庫側の生産性向上によるトラックドライバーの倉庫滞在時間の短縮。その結果として、トラック待機時間を削減する。さらにホワイト物流の実現につながっていく。これがLogiPullを開発した哲学だと考えています」(西山氏)

5つのシステムで倉庫業務を効率化するLogiPull

LogiPullは、大きく5つの機能で構成される。まずは「バース予約管理システム」で運送会社の管理者が予約業務を行うとともに、ドライバーにその情報を共有する。「ここで待機時間の削減や周辺道路での待機列の緩和、さらに事前把握による庫内業務効率化を実現します」(西山氏)。予約に合わせてドライバーが向かった倉庫では、タブレット端末で受付を迅速に済ませるとともに、倉庫内にリアルタイムで情報を共有する。「このバースでこの時間にこういう荷物を取り扱う」との情報を事前に共有することで、倉庫内での業務をよりスムーズに進める狙い。これが「受付管理システム」だ。

トラックは、ETC(電子料金収受システム)車載器や車番認識カメラなどで車両を検知して登録車両のみをスムーズに通過させる「車両入退管理システム」でゲート開閉やパトライト制御を行う。こうして入場したドライバーは、「車両誘導システム」で円滑に決められたバースに向かう。「自動音声電話やSMS(ショートメッセージサービス)、電光掲示板を活用して車両を呼び出します。スムーズなドライバーの移動はもちろん、誘導業務の省人化・省力化も図れるのが特徴です」(西山氏)

こうして倉庫内業務を手早く正確に終えたドライバーは、車両入退管理システムで出庫して、次の倉庫に向かう。ここでCECが注力するのは、「バース実績」の管理だ。「荷物の積み降ろし時間を計測して分析することにより、作業計画の改善につなげます。さらに、バースと車両をひもづけることでバースの『満』『空』管理を行い、回転率を向上させることにより、待機時間削減への効果をより高めることができるのです」(西山氏)

さらに、通関や輸出入情報と予約・受付時の車両情報を連携することにより、実績や進捗といった情報を適時に共有できる「NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)連携」や、リアルタイムで車両の位置情報を把握できる「GPS(全地球測位システム)連携」などのオプション機能も設定。倉庫の特性や現場における課題認識に合わせて、庫内業務の効率化によるトラック滞在時間の短縮を実現する取り組みだ。

顧客の信頼を勝ち得たLogiPullの「カスタマイズ対応力」

CECは、LogiPullを既に40か所を超える倉庫や物流拠点に提供。倉庫周辺や構内におけるスムーズな車両誘導や警備員・誘導員の削減など様々な側面での業務効率化を実現している。

ある精密機器メーカーは新倉庫の開設にあたり、トラックなど物流関連車両の増加による周辺道路での渋滞発生と入退管理にかかる人的リソースの増加が課題だった。メーカーは、LogiPullとバーゲートなどを組み合わせることにより、実効的なトラック入退管理システムの構築に成功した。

メーカーの担当者がLogiPullを評価したポイントは、「他の機器・システムとの連携などの高度なカスタマイズ性」だった。様々な機器との連携やメーカー独自の誘導ロジックの実現など、現場の意向に配慮した対応力を備えたシステムとしてLogiPullを完成させたところに、半世紀以上にわたってシステム開発に一貫して携わってきたCECならではの強みがあるのだ。

LogiPullはさらに進化する、その要は「WES」だ

こうして独自性の高い物流効率化ICTソリューションであるLogiPullの存在感を、市場で着実に高めているCEC。ここで新たなコンセプトとして推進しているのが「LogiPull WES」だ。

WESは「倉庫運用管理システム」を指す。従来の「在庫管理システム」と、自動化設備の制御を行う「倉庫制御システム」の中間に位置する概念であり、入出荷予定から作業計画を作成し、自動化設備を効率よく運用する機能を持つ。

CECは、倉庫内におけるマテリアルハンドリングなど機器・設備と、在庫管理システム、さらにトラックバース管理システムの3つを連携することで、LogiPullの提供により手掛けてきた倉庫内業務の生産性向上をさらに推進する取り組みを始めている。その「扇の要」となるのが、WESというわけだ。

▲WESを要として倉庫内業務の生産性を高め、トラック待機時間の削減につなげる

「作業指示を計画に落とし込み、この計画をもとにマテハンなどの機器・システムを制御。さらに、こうした実績を『見える化』することで、さらなる効率化につなげていく。こうした『LogiPull WES』の取り組みが目指す究極の姿、それは『倉庫内業務の無人化』です」

事業推進本部営業企画部の今井勝行・グループマネジャー兼シニアマーケティングディレクターは、大阪市で6月22日から3日間開催された「第3回関西物流展」の製品・技術PRセミナーに登壇。LogiPull WESの取り組みについて熱弁を振るった。そこには、CECが倉庫業務における「全体最適化」にこだわりシステム開発を推進していく意思を訴える使命感があった。

システムインテグレーターの代表格として独創的なITソリューションを提供してきたCEC。物流倉庫の現場をシステムの力で変えることで、社会を支えるインフラである物流の持続的な成長につなげていく。LogiPullの開発から機能拡大に向けた取り組みには、こうした哲学が一貫して存在している。そこが揺るがない限り、LogiPullの進化が決して終わることはないだろう。

CECオンラインセミナー情報

「今更聞けない。バース管理システムでできること~LogiPullでできるバース管理の効率化策~」

【日時】
7月8日(金)16時〜16時45分
7月15日(金)16時〜16時45分
7月27日(水)11時〜11時45分
定員:100人/受講料:無料

■詳細・申し込み
https://logistics.cec-ltd.co.jp/seminar_event/20220610/index.html