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SBS倉庫火災で黒煙続く、消火活動に猛暑も難敵

2022年7月4日 (月)
▲消防による消火作業が続く阿見第二物流センター(茨城県阿見町、7月3日16時ごろ撮影)

事件・事故巨大な建物からモクモクと湧き上がる黒煙、懸命に続けられる放水、照りつける夏の日差し――。茨城県阿見町で6月30日に発生したSBSフレック(東京都新宿区)の物流施設火災は、出火から3日半が過ぎた4日昼になっても依然、鎮火できず、大規模物流施設での火災の手強さをまざまざと見せつけている。24時間体制で消火活動にあたる消防隊員の中には、猛暑による熱中症で搬送される者も出ており、一様に焦りの色を濃くしている。

「建物はでかいし、開口部が見当たらない。中に入るどころか、煙と大きなひさしに遮られ、壁に近づくことも簡単ではない。残念だが鎮火の見通しは立っていない」。稲敷広域消防本部の関係者は、消火活動が難航している実情を率直に語った。

現場に近い同県龍ヶ崎市では火災発生翌日の1日は晴天で最高気温が36.6度の猛暑日を記録。2日、3日も34度台が続いた。この時期としては記録的な暑さに、火事の熱が加わり、隊員たちの体力を消耗させる。2日には隊員1人が熱中症で搬送された。出火当日にのどの痛みを訴えた工事関係者に続いて人的影響は2人目だ。

消防隊員は交代を繰り返しつつ20人前後の体制で放水を続けている。消防車両は周辺地区からの応援を得て当初の15台から一時、24台に増やした。2日からは地元建設業者に依頼して数台の重機を投入、西側から外壁やひさしの破壊を始めた。また、天井にエンジンカッターで穴を開け、注水を試みたが、効果が薄く取りやめた。

こうしたなか、徐々にではあるが火の勢いを食い止めつつある。消防は3日20時、他の建物に燃え移る可能性がなくなる「延焼阻止」を宣言した。ただ、黒煙は収まらず、牛久署は周辺の道路を一部通行止めにし、工業団地内を行き交う多数のトラックを迂回させる措置をとった。同署は鎮火を待って原因究明の捜査を本格化する考えだ。

近隣に民家はないが、阿見町防災危機管理課は2日朝、健康被害防止のため、外出を控え、窓を閉めるよう、ホームページとメールで住民に注意を呼びかけた。