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フレクトが挑む安全運転管理業務の負荷軽減策

Cariot、アルコールチェック管理と動態管理を連携

2022年7月29日 (金)

(イメージ)

話題千葉県八街市で2021年6月28日に発生した、下校中の小学生の列に飲酒運転の「白ナンバー」(自家用車)の社用トラックが突っ込み児童5人が死傷した事故。社会の衝撃は大きく、警察庁は同年11月、白ナンバーの車両を業務に使う一定規模以上の事業者に対して、ことし4月1日から目視などによる飲酒検査を義務づけた。今後、アルコール検知器による検査も義務化する。

※白ナンバー車両への義務化は当初10月からの予定でしたが延期される見通しです。

飲酒運転を撲滅し安全運転のさらなる徹底を促すための取り組み。とはいえ、運送事業者をはじめとする物流業界では、こうした一連の義務化への対応を巡り混乱も起きる事態になっている。特に現場で危機感が広がるのは、安全運転管理者における業務負担の増加だ。

こうした観点からも物流現場における安全運転管理業務の効率化・最適化は喫緊の課題となっている。安全運転管理の一環であるアルコールチェック業務を、その効果を確保しながら効率化することはできないか。そこに着目したのが、クルマと企業をつなぐドライバー働き方改革クラウド「Cariot」(キャリオット)を展開するフレクトだ。

「Cariotならでは」のアルコールチェック義務化対応機能とは

「クルマがつながる、シゴトが変わる」。Cariotの強みは、このコンセプトの実現に向けて社用車や営業車、配送車、トラックなどさまざまなクルマの情報を取得するデバイスからクラウド活用まで、ワンストップでサポートできることだ。

このCariotに、アルコールチェック義務化への対応として、安全運転管理者や輸配送、営業など車両を運転する現場従事者のコンプライアンス(法令順守)の徹底と業務負荷低減を支援する機能を追加できないか。「こうした顧客からのやり取りの中から生まれた問題提起から、Cariotならではのアルコールチェック義務化対応機能の開発が始まりました」。フレクトの村上正大・Cariot事業部マーケティング部長は振り返る。

▲フレクトの村上正大・Cariot事業部マーケティング部長

フレクトが定義するCariotの存在意義は、「クルマの現場が見えない問題」と「アナログで非効率な現場運用の問題」の両方の機能を提供することで、その現場における業務全体の生産性を高めることだ。フレクトはこうした文脈を背景に、Cariotの機能の一つとして提供できるサービスの要件定義に着手。その結果として、ことし4月に提供を開始したのが「アルコールチェック管理機能」だった。

アルコール検知義務化に対応するCariotの「2つの機能」

Cariotにおけるアルコール義務化対応の新機能は、「アルコールチェック管理」と「アルコール検知器メンテナンス管理」の2つだ。

アルコールチェック管理機能は、管理者がドライバーとの酒気帯び有無の確認結果を手動でパソコンのブラウザ上で入力する。クラウド上に保存されるので、Cariot上でいつでも確認できるのが特徴で、記録は1年間保存される。書類整理の手間の削減や書類作成効率の向上を図れるのが特徴だ。

▲アルコールチェック管理画面

アルコール検知器メンテナンス管理は、管理者がアルコール検知器のメンテナンス情報をCariot上に登録することで、アルコール検知器の正常な作動を支援するとともに故障がない状態を維持する。週次・年次のメンテナンス記録をいつでも確認できるほか、メンテナンスがなされていない場合にはアラート設定で管理者に実施を促すこともできる。

▲アルコール検知器メンテナンス画面

フレクトがCariotにこれらの新機能を搭載するにあたって、意識した点があるという。「要件を満たすだけでなく、安全運転管理者の負担を減らすことを重視して設計しました」(村上氏)。見た目から操作感覚、必要な項目の選定まで、多忙でパソコン操作が不慣れな担当者でもストレスなく使える仕様にこだわった。物流現場における安全運転管理業務の効率化を支援する、これはCariotが強みとする部分だからだ。

「飲酒運転をなくすための法令順守の意思を持つ事業者に対して、アルコールチェックの負担軽減を図り運用負荷を下げる。これがCariotで実現したい支援策です」。村上氏の語るフレクトの明確な役割と立ち位置。この方向性は、今後のさらなる機能拡張にもつながっていく。

モバイルアプリとの連携で業務分散化も可能に

とはいえ、フレクトは現場のCariotにおけるアルコールチェック管理機能に、未だ改善の余地があることを認識していた。その最たる点が、パソコンによるデータの手入力を要するところだった。

(クリックで拡大)

「パソコンでの入力を要することで、営業所に立ち寄らず直行・直帰するドライバーや深夜・早朝の乗務で管理が難しい顧客への対応が困難でした。そこで、機能アップデートに踏み切りました」(村上氏)

それが、ことし7月15日より順次開始したスマートフォン入力への対応だ。Cariotのモバイルアプリケーションから入力できる仕組みを構築。リモートで実施したアルコールチェックの記録をしやすくした。さらに、ドライバーが自ら入力できるようにしたことにより、管理者に集中していた業務の分散化も可能になった。

Cariotのアルコールチェック管理機能を最大化する「動態管理機能との連携」

Cariotのモバイルアプリケーションからの入力が可能になれば、事務所にいなくてもアルコールチェックの記録を登録できるようになるのは、確かに実用的なメリットだ。しかし、Cariotでアルコールチェックの結果をデータ化する利点として、忘れてはならないポイントがある。Cariotが搭載している、車両の動態管理機能との連携だ。

ドライバーのアルコールチェックの結果はあくまで検査における記録であり、乗務時の走行データとは関係がない。そのため、アルコールチェックの結果データがない場合は、「アルコールチェックが漏れている」「そもそも走行乗務がなかった」と2つの可能性が生じることになる。それを確認するには、両方のデータを抽出して突き合わせるしかなく、安全運転管理者の業務負荷を高めることになる。

▲動態管理画面

ここで、Cariotならではのアルコールチェック管理の強みが発揮されることになる。「アルコールチェックの結果とドライバーの走行データを同じシステムで管理できますので、チェック結果のデータがない時に「チェックが漏れている」か「走行がなかった」かの判別が容易になります」(村上氏)。さらに、アルコールチェック結果の記録だけでなく、安全運転管理者業務に必要な車両・ドライバーの情報の取得・記録も同じシステムで進められるというわけだ。
「アルコールチェックの結果がないドライバーが万が一走行している場合、その状況を即座に把握できる機能も、近日中に提供する予定です」(村上氏)。Cariotの元来の機能とアルコールチェック管理機能を組み合わせることで生まれる付加価値。フレクトがCariotで実現を目指す安全運転管理業務の「効率化」の姿だ。

Cariotの機能拡張は終わらない、新たな「価値」創造へ

とはいえ、フレクトによるCariotのアルコールチェック管理機能の拡張に向けた取り組みは、これがゴールではない。

「現在のCariotによるアルコールチェック管理機能は、検知器とは連携していません。一方で、Bluetooth(ブルートゥース)を活用して検知器のデータをモバイル端末と連携する機能が実用化されています。それならば、検知器のデータをCariotのモバイルアプリケーションと連携させることで、新たな業務支援につながると考えているのです」(村上氏)

フレクトが推進する、Cariotのアルコールチェック管理機能のアップデート。それは、物流現場におけるアルコール検知業務の効率化・最適化を実現する有効な手法を提示するだけにとどまらない。むしろ、物流現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)のあり方そのものを問いかけていると言えるだろう。それは、複数の機能を組み合わせることで新たな価値を創出する、その開発プロセスの有効性だ。