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JR貨物の1Q、経費圧縮で黒字回復もなお低水準

2022年8月9日 (火)

(出所:JR貨物)

財務・人事日本貨物鉄道(JR貨物)が9日発表した2022年4―6月期連結決算(2023年3月期第1四半期決算)は、売上高が前年同期比1.4%減の450億4300万円、本業のもうけである営業利益が2.4倍の1億200万円、経常利益が3300万円の赤字(前年同期は5500万円の赤字)、最終利益が2億500万円(同1億3200万円の赤字)となった。新型コロナウイルス禍による輸送需要の低迷に、世界的な半導体不足に起因する自動車部品の輸送減少が重なるなど、厳しい事業環境が続き、減収となった。経費圧縮で増益・黒字回復したが、なお低い水準にとどまった。

発表によると、鉄道貨物事業では、輸送量がコンテナでは積み合わせ貨物と家電・情報機器を除く品目で前年同期を下回った。コロナ禍に伴う需要低迷、半導体・部品不足による自動車部品の減送、タマネギの作柄不良などが要因という。積み合わせ貨物は2021年10月に始めたブロックトレインが奏功して輸送量が増加し、家電・情報機器もエアコンの需要回復や顧客企業のモーダルシフト推進などにより前年同期を上回った。これらにより、コンテナ全体の輸送量は前年同期比4.3%減となった。車扱は1.7%増となった。経済活動の再開でガソリン需要が増え、石油の輸送量が回復した。コンテナと車扱の輸送量合計では前年比2.8%減となった。

利益面では、原油などの高騰に起因するコスト増を受け、オペレーションコストの削減や、不要不急の工事や施策の見直しを行い、経費を切り詰めた。鉄道貨物事業の売上高は1.7%減の403億円となり、営業利益は前年並みの26億円の赤字となった。

不動産事業では、賃貸マンション事業が順調で、温浴事業も時短営業を通常営業に戻したことにより増収となった。事業売上高は0.1%増の50億円、営業利益は0.2%増の25億円となった。

同社は23年3月期通期の業績について、5月に公表した期初予想値を下方修正した。売上高は1981億円(期初予想は2006億円)、営業利益は35億円(61億円)、経常利益は29億円(54億円)、最終利益は3億円(28億円)とした。 新型コロナウイルス第7波の感染拡大やウクライナ情勢の深刻化による原油・資源高などを理由としている。