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ブロックチェーン技術用いる新手法活用、国内最大規模

ケネディクス、物流施設を電子証券化し70億円調達

2022年8月19日 (金)

財務・人事ケネディクスは19日、資産規模146億円の物流施設を裏付け資産とし、ブロックチェーン技術を用いて権利移転することによってデジタル証券「セキュリティ・トークン」を発行し、資金調達を行う「不動産STO」と呼ばれる手法により、69億1500万円を調達したと発表した。

▲ロンコプロフィットマート厚木Ⅰ(出所:ケネディクス)

譲渡制限付の「ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木Ⅰ」の運用を開始したもので、発行価額の総額は66億3148万円。国内で実施された不動産STOによる資金調達では最大規模、世界的にも大型の事例となる。

STOはセキュリティ・トークン・オファリングの略。不動産STOは、裏付け資産を不動産やそれ関連の権利とするもので、実物不動産よりも売買流動性が高く小口で投資できるようになることが見込まれている。投資家は対象資産を裏付け資産としたセキュリティ・トークンを取得する。

ブロックチェーン技術の活用により、資金決済の短縮や費用抑制といった効率化や、株主優待などのデジタル化による新たな価値や体験の提供、デジタル証券取引所との連携による流通市場の整備など利便性の向上やコストの削減が見込まれる。

この手法を用いることで、投資に消極的だった層の投資参加を促すほか、少規模でも魅力ある不動産が資金を集めやすくなる、といった利点がある。

今回の案件は、好立地にある最新の大型物流施設を裏付け資産とした不動産セキュリティ・トークンである「ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木Ⅰ(譲渡制限付)」を、一口100万円の発行価格で主幹事会社の大和証券を通じて幅広い投資家への募集を実施。この結果「多くの投資家から投資需要をいただき、日本での不動産STOとしては過去最大の資金調達額、また世界的に見ても大型となる不動産STOの募集を成功裏に完了することができた」という。

ケネディクスでは、ブロックチェーン技術を活用した新たな不動産投資手法である不動産STOを推進して個人投資家層の開拓に注力することで、セキュリティ・トークンを「第3の事業の柱」に育て、具体的目標として「2030年までに市場全体で2.5兆円の不動産がセキュリティ・トークン化されている未来を目指す」としている。

投資対象不動産のロンコプロフィットマート厚木Ⅰは昨年8月に完成した神奈川県厚木市の物流施設で、圏央厚木インターチェンジから1.5キロの距離に立地。延床面積はE(東)棟が1万6068平方メートル、W(西)棟が1万8897平方メートル、テナント総数は3社で満床となっている。鑑定評価額は5月1日時点で146億円、還元利回りは直接還元法で3.2%。