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物流スタートアップ・ベンチャー特集/第9回

建設現場支援システムを物流へ/国際創研・平間さん

2022年11月1日 (火)

話題LOGISTICS TODAYのスタートアップ・ベンチャー企業を応援する企画「物流スタートアップ・ベンチャー特集」。第9回は、国際創研(山形県米沢市)の平間大樹さんです。

建設業と物流業。共通して抱える最大の課題と言えば「働き方改革」です。現場における若手人材の不足とそれに伴う長時間労働が構造的な課題であり、その対応に向けた業務効率化が求められています。

(イメージ)

コンサルティングやシステム設計などITを活用した各種サービスを展開する企業として山形県米沢市で1994年に誕生した国際創研は、2020年に建設業向けにクラウド型位置情報管理システム「らくらく現場」の提供を開始しました。工数や日報などの報告をデジタル化することで現場業務の効率化を支援する取り組みです。このサービスをさらに幅広い領域への展開を模索するなかで着眼したのが、建設業と同様の課題を共有する物流業でした。

物流業界は、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることで発生する「物流の2024年問題」をはじめとする就労環境の改善に向けた対応が喫緊の課題になっています。特に輸配送の現場では、点呼やアルコールチェックなどドライバーの管理業務の効率的で実効的な運用が強く求められています。

安全で確実に荷物を運ぶために欠かせないこうした管理業務は、一方で繁忙を極める現場でいかに効率よく対応するかが問われます。まさに相反する事柄をともに解決しなければならない、難しい課題にどう対応するか。こうした局面で力を発揮するのがITシステム、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みです。

▲国際創研の平間大樹氏

らくらく現場はGPS(全地球測位システム)を搭載し、建設現場からの業務報告業務を効率化するとともに、現場と事務拠点といった遠く離れた地点同士で情報を共有できるシステムが特徴です。さらに、アプリケーションではなく二次元コード(QRコード)を読み取ってブラウザでシステムを運用できるため、インターネット環境さえあればスマートフォンなどの端末で簡単に使えるのも強みです。建設業向けに開発したシステムですが、物流現場にも非常に相性のよいことがわかるでしょう。

国際創研は、「白ナンバー車」保有企業に対するドライバーへのアルコールチェックの義務化の実施に合わせて、物流関連企業向けにらくらく現場を訴求していく考えです。ドライバーの乗務前と途中、乗務後に点呼やアルコールチェック、報告事項の伝達・共有を遠隔で実施できるようにすることで、乗務中の業務効率化を促すとともに管理側の負担も軽減します。物流現場でも建設現場と同じく、現役の年配ドライバーや管理者がまだまだ少なくありません。ブラウザで活用できるメリットを武器に、幅広い世代に使いやすい仕様として他社システムとの差別化を図る狙いもあります。

物流業界へのらくらく現場の展開にあたって期待しているのが、システム利用者からの反応です。使い勝手やシステム構成などの課題を把握することにより、さらなる改良につなげることができるからです。らくらく現場の標準機能に物流業界仕様の付加機能を追加することにより、さらにドライバーをはじめとする物流現場の業務改善支援に効果を発揮することが可能になると考えています。

▲「らくらく現場」管理画面のイメージ

ITシステムの強みは、こうした業界を超えた水平展開が比較的しやすいところにあると考えています。社会インフラにかかるエンジニアリングサービスを展開してきた国際創研にとって、物流の世界はそもそも親和性が高い領域であるはずです。事業の拡大・成長に欠かせないのが、それを担う人材の適切な管理です。こうした労務管理業務のDXによる支援は社会に不可欠なインフラの確保・強化を促すことにつながる、こうした使命感を胸に、物流業界へのらくらく現場の本格的な提供を見据えた準備を整えているところです。

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