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三菱ふそう、EVトラック導入企業への支援強化

2022年9月27日 (火)

短報記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は三菱ふそう、「eCanter」次世代モデル発表(9月7日掲載)と三菱ふそう、eCanter次世代欧州モデル発表(9月20日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

荷主三菱ふそう・トラックバス(川崎市中原区)は先に発表した小型EV(電気)トラック「eCanter(eキャンター)」の新型車に関し、2023年春の国内市場投入に合わせてEVトラックの導入支援プログラム「FUSO eモビリティソリューションズ」を展開する計画だ。ユーザーに対して充電器設置やCO2削減計画の策定などをサポートする。小型EVトラック市場で先行する三菱ふそうだが、顧客支援策を強化して追撃する日野自動車やいすゞ自動車に差をつけたい考えだ。

▲eCanterの次世代モデル(出所:三菱ふそうトラック・バス)

このプログラムは7つのサービスから構成している。(1)顧客企業に最適な充電器を紹介し、設置工事までをサポート(2)CO2排出量の見える化や削減計画を提案(3)EVに最適な運行ルートや太陽光発電などの提案といった電力面の支援(4)バッテリーの寿命対策などライフサイクル全体のシステム構築(5)幅広いリース契約メニューの提案(6)同社のテレマティクスサービスを通じた、バッテリーの状態や充電状況などのリアルタイム把握(7)長期補償など安心して使い続けるためのサービス体制。こうしたサービスを、グループ会社やパートナー企業と協力して提供し、運送会社などの導入企業が抱える不安や疑問の解消に努める。

手厚い顧客サポートを打ち出す背景には、ライバルの動きがある。日野自動車は6月に「デュトロZ EV」を発売した。日野は現在、エンジン認証不正問題で大半のディーゼル車の出荷ができないため、EVトラックで猛烈な巻き返しを図るとみられる。いすゞも22年度中に小型EVトラックの市場投入を目指している。

また、政府が「50年の温室効果ガス排出実質ゼロ」を目標に掲げ、小型商用車に占めるEVの比率を30年に20-30%まで高める方針を掲げている。国土交通、経済産業両省が充電設備の導入費用の補助を行うなど、いくつもの普及政策を進めており、メーカーとしてそれに呼応する意味もある。

eキャンターは、国内初の量産型EVトラックとして17年に現行モデルが発売され、今回が初の全面改良となる。排出ガスを一切出さず、従来のディーゼル車と比較して騒音や振動も少ないため、都市内のラストワンマイル配送や深夜・早朝の輸送に適している。これまで日本をはじめ、アメリカや欧州、オーストラリア、ニュージーランドで450台が導入されている。

新型車は、5年間の運用経験に基づき、車両ラインアップを大幅に拡充して、より多くの物流ニーズに対応した。バッテリーも用途に応じて3タイプから選べるようにし、現行型に比べて最大航続距離を延長した。各種先進安全装備も施している。

▲eキャンターは各地の展示会でも注目を集めている(写真は現行型、5月のジャパントラックショーで)

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