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中国・香港間に国際陸上輸送ルート開拓、NX系

2022年10月21日 (金)

国際NIPPON EXPRESSホールディングスは21日、グループのNX国際儲運(香港)が、陸路で中国・珠海市と香港をつなぐクロスボーダー輸送サービスを開始した、と発表した。

現地で新型コロナウイルスを巡る厳しい物流制限が続くなか、中国・香港間に架かる港珠澳大橋を経由する代替ルートを開拓。広東省珠海デルタ内、東側の深圳市、西側の珠海市からの両クロスボーダー輸送網を整えることで利便性の向上につなげる。

発表によると、コロナ禍により、既存のクロスボーダー輸送ルートの深圳市・香港間は現在も通行規制が厳しく、陸路のクロスボーダー輸送でも遅延が常態化しており、香港を輸出入の基本とした国際的なサプライチェーンに大きな影響が出ているという。

毎日1便を運行し、チャーター輸送に加えて小ロット・少量にも対応した混載輸送にも対応。香港を基点にした輸出入手配との連携もできる。

(出所:NIPPON EXPRESSホールディングス)

NX国際儲運による「港珠澳大橋」輸送ルート開発、日中関係における「経熱」復活への期待も

NIPPON EXPRESSホールディングスグループのNX国際儲運が提供を始めた、中国・珠海市と香港を陸路で結ぶクロスボーダー輸送サービス。中国華南エリアと香港を結ぶ新たな陸送ルートの開発による物流サービスの向上が狙いだが、さらに注目したいポイントがある。中国と香港、マカオを結ぶ全長55キロと世界最長の海上橋として2018年10月に開通しながら、利用が伸び悩んでいる港珠澳大橋(こうじゅおうだいきょう)を活用した輸送ルートであることだ。

中国本土と香港を往来するクロスボーダーと言えば、深圳市を経由するルートが定番だ。香港の新界と接する深圳市は経済特区にも定められ、中国経済における影響力が極めて大きい、改革開放経済の象徴である。物流の観点で見ても、香港と接する地理的特性からも中国における産業拠点として重要な都市だ。

ところが、中国当局による新型コロナウイルスの感染対策強化により、この輸送ルートが厳しい通行規制の対象となった。そこでNX国際儲運が着目したのが、港珠澳大橋を活用したルートだった。

(イメージ)

利用時には中国本土と香港の両方の運行ライセンスが必要であるなど、いまいち使いにくい港珠澳大橋。開通からちょうど4年、深圳市ルートに続く新たな輸送インフラとして期待された効果は必ずしも創出できていないのが実情だ。

NX国際儲運による港珠澳大橋を活用した輸送ルート開拓は、深圳市ルートの事実上の“代替”となるだけでなく、新たなインフラの活用実績を作ることによる経済的なプラス効果の提供につなげたい思惑も反映しているように感じずにはいられない。

日中関係は典型的な「政冷経熱」の状態にあると長年指摘されてきたが、現実は南沙諸島や台湾を巡る問題なども背景に、すでに「政冷経冷」の様相を呈している。微妙な経済関係のもとでこうした取り組みが民間レベルで展開されることに、まだ期待をつなぐ余地が十分にあると安堵する心境だ。(編集部・清水直樹)

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