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3D点群データ自動仕分け機能開発、オートマギ

2022年12月1日 (木)

(イメージ)

サービス・商品Automagi(オートマギ、東京都港区)は1日、航空・空間情報事業を手掛ける朝日航洋(東京都江東区)とともに3D点群データを自動仕分けするAI(人工知能)モデル搭載のツールを共同開発したと発表した。特許出願中のアルゴリズムと深層学習(ディープラーニング)を活用したソリューションで、人による作業工数を最大で60%削減。仕分け判断の精度向上にも効果的で、業務の効率化につながるとしている。

発表によると、朝日航洋は社会インフラ点検領域で、ヘリコプターや計測車両を使用し、送電線などの電力設備を撮影、計測して解析を行っている。可視光カメラのみの場合、レーザー計測により設備と植生の離隔や設置状況の異常の有無を立体的に確認している。

取得した3D点群データは、あらゆる対象物が点の集まりで表されるため、これまでは人が目視で確認しながら手作業でフィルタリング(仕分け)作業を実施していた。その作業工数は年間5000キロ、1700人分に及ぶという。

今回開発したAIソリューションは、過去に点群フィルタリング作業を施した3次元座標データファイルを参考に、6万回の学習を行って構築。最終精度を検証した結果、アルゴリズムと深層学習技術ともに90%以上の実用性を確認した。

今後は電力インフラの維持管理などでの活用を視野に、業界課題の解決や他分野での応用も検討する。

▲点群フィルタリングを施した後(右、出所:Automagi)

あらゆるDXを受け入れて成長を図る物流、それだけ成長の余力がある領域である証左だ

ある対象を「空間」という観点で計測する技術は、あらゆる産業における業務最適化に貢献すると期待されている。これまで高い精度で測れなかった位置の情報を正確につかめることで、目視に依存しない計測やそれに基づく解析を進めることができるからだ。もちろん、物流も例外ではない。

3次元での点群データを自動で判別して、対象物の計測や正確な位置関係を把握するこうした技術は、AI(人工知能)の活用により実現したものだ。あらゆる産業における「血液」の役割を果たす物流は、こうした技術の導入先として最もふさわしい領域であるとは言えないだろうか。

物流は、なかなかプロセスを可視化しにくい領域として認識されてきた。モノを運ぶという極めて身近な仕事を生業としているにもかかわらず、その過程の正確な状況を把握しにくい「ブラックボックス」が多く存在することで、その最適化を進めにくいという問題があった。こうした難題に業界・業態を超えた数多くの企業が挑んでいるのは、まさに「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」の構図そのものだ。

朝日航洋とオートマギが開発した3D点群データ自動仕分けツールも、こうした物流のブラックボックスに風穴を開ける取り組みと言えるだろう。物流の各プロセスにおける事業者のアイデア次第で幅広い活用方法を見い出せるだろうが、物流の「見える化」による業務改善につながることを期待する。

両社がこのたび開発したツールも、端緒は送電線など社会インフラの点検業務の最適化を目的とした技術だ。それを水平展開するなかで、物流にも適応できる領域の一つに位置付けようとしている。

裏を返せば、あらゆるDXの取り組みを受け入れることができるだけの度量を、物流という仕事は確保しているということだ。それだけ業務現場における問題が多いとの見方もできるわけだが、成長の余力が大きく伸びしろがあるとも言えるのだ。近年、この領域に対する注目がやけに高くなっているのも、こういう見地で考えれば合点がいくと言うものだ。(編集部・清水直樹)

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