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食品物流負担減に追い風、納品期限緩和広がる

2022年12月8日 (木)

フード公益財団法人流通経済研究所は8日、商慣習見直しによる食品ロス削減に取り組む事業者を公表し、加工食品の納品期限を緩和したのは240社(2022年10月時点)となり、前年から54社増加したと発表した。環境問題やSDGsに対する意識の高まりを背景に、都市部を中心に食品ロス削減に向けた機運が小売り側にも高まっており、商品を輸配送事業者の負担軽減に向け、持続可能なサプライチェーン構築への効果も期待される。

(イメージ)

発表によると、納品期限とはメーカーが店舗に納入できる商品の鮮度基準を指す。この期限を過ぎた場合、返品や廃棄が生じやすくなるため、賞味期限の3分の2を残した状態でスーパーなど小売り側がメーカー側に返品する「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習が存在する。食品ロスだけでなく、追加生産に伴うサプライチェーンへの負担増加が問題視されている。

同研究所の「食品ロス削減のための商慣習見直し検討ワーキングチーム」では、この納品期限の緩和に取り組んでいる。こうした考えにイオンや東急ストア、セブン・イレブンといった大手小売業者などが賛同して期限緩和に踏み切った。

都道府県別(社名公表許可のあった企業・本社所在地別)で同ルールを見直した事業者数をみると、東京都が21社で最多。北海道が19社と続き、大阪府が15社、愛知県と神奈川県が9社となっている。また2012年以降に賞味期限を延長したメーカーは182社だった。

賞味期限を日付ではなく、月や旬で表示する「大括り化」についても、実施したメーカーは前年比44社増の267社に拡大。細かい日別管理を取り止め、納品期限切れを回避し出荷できる機会が広がることから食品ロス削減につながる。また、検品時間が削減されて積み降ろし時間も減るため、トラックの回転率向上や倉庫スペースの効率化、トラック積載率の向上にも期待できるとしている。

同研究所は、加工食品の店舗への納品期限を緩和すると、飲料と賞味期限180日以上の菓子だけで全国で4万トン(80億円)の食品削減につながると試算する。その上で「人手不足が深刻なトラックドライバーや店舗スタッフの負担軽減のほか、消費者の鮮度意識を助長しない効果もある」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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