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国際物流ベンチャーCEO、大学生に語った本音

2022年12月16日 (金)

記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「『産業シフトさせる』シッピオ佐藤CEO、大学で講演」(12月15日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

▲Shippioの佐藤孝徳CEO

ロジスティクス拓殖大(東京都文京区)で15日に行われた国際物流プラットフォーム(PF)を提供するShippio(シッピオ、同港区)の佐藤孝徳CEOによる大学生向けの講演。佐藤氏は自社の事業概要やフォワーディングの仕事に関する紹介にとどまらず、起業や経営、会社員時代のキャリア、趣味と多岐にわたる話題について語り、赤裸々に質問を受け付けて等身大の姿を若者たちに見せた。そこには「少しでも若者に物流業界に興味を持ってほしい」という強い思いが込められていた。講演の内容や学生との質疑応答の中から、印象に残った言葉やメッセージを紹介する。(編集部・安本渉)

起業家としてのメッセージ

社会性の高い事業を追求。人材輩出は会社の責務だ──

起業家として、事業は社会性の高さを追求することに意味がある。その事業規模を拡大させていくには、人の育成や巻き込みが必要で、人材開発・組織開発は避けて通れない。人材を世の中に送り出さない会社は、会社としての責務の半分しか果たせていないと思う。

答えのない世の中で結果を出す──

いつかは教育(事業)もやりたいと思っている。日本の教育は、小学生のころから誰かが作った答えを当てることに最適化されている。日本からアントレプレナー(起業家)が生まれない一因ではないか。環境変化のスピードは、10年前と比べても比較にならない。答えのない世の中に仮説を作って、ぶつけて結果を出す。期待されている答えを当てられるだけでなく、自分たちで仮説を作って検証して世の中に社会実装する。そんな経験ができる会社にしたい。

夢の大きさと「やり抜く」意志の強さ──

起業するにしても大企業に入るにしても、すべては「夢の大きさと意志の強さ」次第。夢が小さいと人を巻き込めないし、チャレンジできない。人にバカにされても夢は大きいほうが良い。ただし、その夢を実現するにはとても時間がかかる。乗り越えるためには「絶対やる」という意志の強さが必要だ。スポーツ選手、経営者、お笑い芸人でも、そこがしっかりしている人は活躍している。

25年後に自社PF惑星間輸送──

国際物流とか輸送に関わっているスタートアップでイノベーションを起こそうとしているので、25年後くらいに僕らのPFで惑星間輸送とかできればという野望は昔から持っている。

ビジネス関連の発言

デジタルデータが創る新たな仕組みに醍醐味──

フォワーダーを目指すというよりも、面白いのはデジタルでデータを持っているので貿易金融やソフトウエアにつないでいけるところ。既存の物流会社にはなかなかできない、仕組みが作れないと思う。フォワーダーの伸び代は、ロジスティクスで獲得した顧客に、新しい仕組みでサービスを提供することで事業を伸ばしていけるところだ。

日本の物流業界「伸び代しかない」──

日本の物流業界は伸び代しかない。どの方向に伸びていくのか。エンジニアリング、ソフトウエア、ネットワークに対するところが非常にある。一方で、とにかくコストを切り詰めてなるべく安い物流を提供するというのは限界がきている。物流業界が、スタートアップやテクノロジーとうまく付き合えっていけるのかがポイントになる。

「今日と違う明日を迎える」それがスタートアップの価値──

物流は産業として「変化」が好きではない。物流業界は基本的に、「昨日と同じ今日を迎えること」に価値があると考えている。スタートアップの考え方は、「今日と違う明日を迎えること」に価値があるというもの。そこが全然違うが、既存の物流事業者とスタートアップが協業、協調することが日本の物流業界の大きな伸び代になる。