行政・団体物価高を背景にした適正な価格転嫁を巡り、発注者側が協議せず価格を据え置いたなどとして、公正取引委員会が27日に13の事業者名を公表したことを受け、名前が挙がった佐川急便など物流関連企業の各社は28日、取引先との十分な協議の場の設定など改善に取り組む方針を明らかにした。
佐川急便は27日、公取委の公表を受けてコメントを発表。「一時金の支給などのサポートの有無や協力企業からの申し入れの有無に関わらず、協力企業に対する積極的な協議の場の設定が要請されていることを読み取ることができていなかった」と説明した。すでに積極的に協議の場を設けるため、順次書面で申し入れを開始しており「協力企業の立場に配慮し、協議の場で率直な意見交換ができるよう取り組む」としている。
このほか、物流関連企業3社がLOGISTICSTODAY編集部の取材に対し、社名公表への受け止めや改善への取り組み方針について回答した。
丸和運輸機関は、今回の社名公表について「事前の注意喚起と受け止めている」との認識を示し、日頃から荷主やパートナー企業と密にコミュニケーションを図っていると説明。その上で「疑念を持たれることがないように、指摘を踏まえて関係企業との最適な関係を構築していく」とした。
三菱電機ロジスティクスは「誠に遺憾。取引先事業者からの値上げの申し入れについて、都度協議の上で応じてきた」と説明。一方で、コストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格交渉の場での明示的な協議に関しては「十分な対応ができていなかった」と認め、「指摘を真摯に受け止め、パートナーシップによる価値創造のため、公取委の指針などを踏まえて改善を図る」とした。
トランコムは、受注者からコスト上昇に伴う値上げ要請があった場合、それに応じない場合に求められる書面での回答が、一部の取引先で不十分だったと指摘されたと明らかにした。同社は「日頃からパートナー企業との円滑な意思疎通を図り、価格高騰だけでなく他の困り事にも対応している」と説明。その上で「今一度密なコミュニケーションを前提に、指摘を真摯に受け止め、書面での回答を徹底していく」と話した。
今回の社名が公表された企業には、物流関連では大和物流も名前が挙がった。
公取委は27日、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果を発表し、コスト上昇に伴う転嫁を巡り明示的な協議を行っていないとして、物流関連事業者5社を含む13社の社名を公表した。社名公表は適正な価格転嫁を推進する観点からの措置で、独占禁止法や下請法の違反や疑いを認定するものではない、と説明している。
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