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パレット標準化、物流連「まず業界単位から」

2023年1月19日 (木)

(イメージ)

行政・団体日本物流団体連合会(物流連)は19日、第6回パレット標準化推進分科会で、物流標準化調査小委員会による調査結果を報告した。調査は「物流事業者側からみた」パレット標準化に向けた実態と必要性、課題などを洗い出したもの。物流効率化に向けて一貫パレチゼーションを実現する「パレット循環スキーム」を普及するため、進め方として業界単位から着手する方針を示し、荷主を含めて官民一体で標準化を推進していく姿勢を強調した。

調査結果の報告書で示された「パレット循環スキーム素案」によると、パレットを積み替える主な理由として、自社のパレット紛失や流出、規格や仕様が異なる点が挙げられる。個社単位で所有するのではなく、共同で所有・利用を行うことによる一貫パレチゼーションを推進する考えを前提に、パレットの標準化について検討した。

具体的にはレンタルパレットを利用する「オーストラリア型」方式と、共有パレットを利用する方式の2パターンを前提に、スキームの素案を策定した。同じ業界内でも荷主ごとや物流拠点ごとにパレットの仕様が異なっている現状などが背景にあることから、調達方法や運用の効率性、業界ごとの特殊性を勘案して「まずは業界単位で検討することが適切」との見解を提示した。

そのためには、荷主に対してパレット標準化による効果の具体的な数値を示して理解を促すほか、運用やルールの整備が求められるとした。その上で、納入先での空パレットの流出や紛失を踏まえ「特に(最終目的地となる)着荷主の理解が欠かせない」と普及のポイントを言及。運用ルールも業界単位からの共通化が望ましいとした。

スキーム導入に伴う費用負担に関しては、パレットなどの購入費が物流事業者の重荷にならないように、取引の明確化や契約の整備が求められると付け加えた。循環スキームを利用しない荷主からは積み替え作業やばら積み輸送が依頼されると想定。こうした作業に対しては、適正な付帯料金を収受した上でパレット標準化に向けた啓発に努めるとした。

パレットは誰のものか、あくまで物流最適化の文脈を意識した議論を

荷物を載せる荷役台として需要が高まっているパレット。その取り扱いを巡る議論が白熱してきた。「パレットは誰のものか」。先行きの見えない難題の落とし所を求める、行政や業界団体、パレットを扱う事業者、さらには荷主をも巻き込んでの論争は、まさに議論百出の様相を呈している。

現時点において最も有力な方策として論じられているのが、パレットの標準化だ。規格を統一して業界で”共有”することができれば、パレットの効率的な活用イメージは一気に現実味を帯びる。

複数の拠点を頻繁に移動することでその機能を発揮するパレットの特性からも、事業者がそれぞれ所有する発想は、物流ネットワークの構築における足かせとなるであろうことが容易に想像できるからだ。

現実的には、荷主による共同所有という形になるのだろうか。倉庫内搬送に使うかご台車のように施設内でのみ活用する資材とは異なり、パレットは荷物とともにトラックなどで移動するものだ。事業者のモラルが求められるのは言うまでもないが、その適正な活用を管理する組織があってもよい。

特定の事業者によるパレットの独占や規格から外れた仕様品の拡散は、パレットを共有資産と位置付ける動きに逆行するものだ。ゴールはまだ先だが、物流業務の効率化・最適化に必要な施策であることを前提とした議論であることを忘れてはいけない。(編集部・清水直樹)

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