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話題Shippio（シッピオ、東京都港区）が3月2日から2日間開催するオンラインセミナー「Logistics DX SUMMIT 2023」（ロジスティクスDXサミット2023）。開幕に先立ち見どころを紹介する直前企画の第2回は、「協調&競争戦略で実現するLogistics 4.0」のテーマで登壇する鴻池運輸の鴻池忠嗣・取締役専務執行役員に、物流ビジネスの問題解決策としてのDX戦略の方向性について聞いた。
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運輸をはじめとする物流業界は今後、事業環境の劇的な変化に対応するために投資額が急速に膨らんでいくと考えられます。先進的なロボットや各種システムの導入が加速して自動化が進み、人間に求められる仕事の価値観が大きく変容していくのは間違いありません。その結果、物流現場はその姿を大きく変えていくでしょう。
▲鴻池運輸取締役専務執行役員の鴻池忠嗣氏
そこで何が起きるのか。もはや、物流に携わる各企業が個別で開発する時代は過去の話になるでしょう。それに代わるキーワードは「グローバルスタンダード」、つまり世界での標準化です。
顧客のニーズを個別の企業でカスタマイズしてサービスを提供するビジネスモデルを構築する時代は終わり、業界でデータを共通化したうえで、別の次元で付加価値を提示することから新たな競争が生まれます。いわば「協調＋競争」という互いに背反する概念を組み合わせて考えることにより、「物流の第4次産業革命」（Logistics 4.0）の実現に挑んでいく。その基盤をしっかりと構築するフェーズが、まさに今なのです。
KONOIKEグループは2030年に目指す姿として、「技術で、人が、高みを目指す」を掲げています。新技術を活用して創造性を高める豊かな働き方を実現するとともに、匠の「暗黙知」をグループ共通の資産という強みに変えて変化対応力の遺伝子に磨きをかけていく、さらに持続可能な社会基盤の創造に向けた革新を実現していく取り組みを「高み」というフレーズに込めています。
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こうした「高み」を明確に定義する背景には、強烈な危機感があります。我々は、常に時代の変革に適応したビジネスモデルを構築しながら成長してきました。3PL（第三者による物流管理）と3PP（第三者による製造請負）を組み合わせたビジネスを展開。顧客が製造など非中核事業を当社にアウトソースしてマーケティングや技術開発といった中核事業に集中できるサービスを提供してきました。
しかし、物流サービスに対する社会ニーズの高度化や人手不足、さらにはグローバル規模での社会リスクが顕著になってくると、従来のビジネスモデルからのさらなる変革が求められるようになってきています。デジタルツイン技術などを用いてコンサルティング機能を強化した「4PP＋4PL」への変革です。
こうした変革の必要性は、フォワーディング事業においても同様です。現時点ではアナログの要素も残るビジネスですが、ブロックチェーン技術などの普及によって、近い将来は全く人間が介在しなくなるとの予測もあります。それが実現するとなれば、こうした変革に今から取り組んでおかないと、ある日突然仕事を失うといったことになりかねません。
こうした危機感から、我々が独自に開発して22年4月に提供を始めたのが、国際物流業務のオンライン支援サービス「KBX」（ケービーエックス）です。国内における独自の輸送ビジネスモデルを海外に水平展開する動きを加速していますが、同時にこうしたプラットフォームを構築することにより、即時性の高い見積もり提示など顧客サービスの向上を加速しています。とはいえ、Logistics 4.0への対応はまだ緒に就いたばかりですが。
将来の荒波に備えた取り組みがスタートしたKONOIKEグループですが、こうした活動を始めるまでの苦労もありました。現場に意識改革を求めるためには、既存の業務マインドからの脱却と危機感の共有が欠かせませんが、それは決して容易なことはではありません。
今回のイベントでは、こうした現場における革新意識の醸成活動も含めた、KONOIKEグループの国際ビジネスを含めた技術革新の取り組みを紹介いたします。業界全体で危機感を共通の認識とするとともに、それを乗り越えて持続的な成長につなげる好機になればと考えています。（文／編集部・清水直樹）
