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レックスプラス、米で自搬ロボ販売へ14.5億円調達

2023年3月15日 (水)

ロジスティクス次世代搬送システム開発のLexxPluss(レックスプラス、川崎市幸区)は15日、DRONE FUND(ドローンファンド、東京都渋谷区)、SBIインベストメント(同港区)などから14億5000万円の資金調達を実施したと発表した。今回の資金調達を皮切りに、2月に米現地法人を設立し、自動搬送ソリューションのニーズが高まる現地市場での製品展開を始める。

▲次世代自動搬送ロボット「Hybrid-AMR」

発表によると、米現法はニュージャージー州ニューアークで立ち上げる。さらに、自社製品の技術情報を無償で公開し共同利用する「オープンパートナーシッププログラム」のパートナー企業について、今後2年間で国内外100社まで拡大する方針。このプログラムには、すでにIHI、椿本チエイン、東芝インフラシステムズなどが参画している。日本国内の製造・試験拠点を1から3か所に増やし、次世代自動搬送ロボット「Hybrid-AMR」の生産規模を年間1500台に広げる。

今回の資金調達により、同社の累計調達額は18億円となった。

米国でも新型コロナウイルス禍以降、労働意識の変化などにより物流従事者の減少が社会問題化。人手不足を補うため、物流センターでの搬送工程の自動化ニーズが高まりを見せている。

自律走行搬送ロボット市場は日本の30倍となる2021年に7億6200万ドル(1023億円)。28年までに32億ドル(4297億円)規模まで拡大が見込まれている。

物流支援事業者のグローバル展開、国内での業界活性化の創出にも期待

「物流」と聞けば、いかにも内需型のドメスティックな業界であるとの印象が強い。そもそも物流に限らず社会インフラを担う事業体は、特定の地域に根差した立地型産業の象徴と言えるだろう。運送や倉庫といった物流事業者は、海運や幹線輸送などの例を除いて、大半が地場に経営資源を集中的に投下して地域産業の発展に寄与するビジネスモデルを構築してきた。

しかし、こうした構図は既に過去のものになろうとしている。経済のグローバル化や新興国シフトの加速、さらにはEC(電子商取引)サービスの世界的な普及による購買スタイルの多様化で、今やインターネットで世界中の商品を即時に注文できるようになった。もはやビジネスにおける「国境」はほとんど意味をなさなくなり、当然ながら物流もこうした動きへの対応を求められることになったのだ。

とはいえ、この企業にとっては、とっくに国境はボーダーレスな存在なのだろう。レックスプラスが、第三者割当増資で14.5億円を調達して海外ビジネスを拡大する。米国に設立した現地法人を足場として、グローバル市場への展開を加速する狙いだ。次世代の自動搬送ロボットの生産能力を増強することで、需要が急速に膨らむ自動搬送システムの供給体制を強化する。

(出所:LexxPluss)

「自律的産業インフラへの進化を加速させる」とのミッションを掲げるレックスプラスは、人間と機械の「同調」による産業インフラの継続的な発展による産業の変革を推進する戦略に基づいて、事業を展開しているスタートアップだ。技術力もさることながら、こうした理念に共感した国内の物流事業者が既にレックスプラスのロボットを導入するなど、設立からわずか3年で存在感を急速に高めている。

レックスプラスからすれば、米国市場はこうした理念を具現化する最も有効なビジネスの舞台なのだろう。米国で事業基盤を構築することで、さらなる市場獲得の可能性も広がる。

こうした物流支援ビジネスを展開するプレーヤーがグローバルでの市場展開を志向する動きは今後、さらに加速するだろう。グローバルのトレンドがフィードバックされることで、国内物流業界が活性化される好循環の創出も期待したい。(編集部・清水直樹)

物流の「歪み」を技術で変える/LexxPluss・阿蘓CEO

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