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現場の意思決定を推進する価値あるデータ活用を

2023年7月12日 (水)

イベントLOGISTICS TODAYは12日、オンラインイベント「9割が市場から退場?『5年後の物流の話をしよう』〜物流DX・データ活用に不可欠な基盤整備〜」を開催した。デジタル化が遅れている物流業界におけるデータ活用の重要性、また物流業界におけるデータ活用のあり方について、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを提供するドーモ(東京都中央区)からソリューションコンサルティングディレクターの山下進一氏を招き議論を展開。データ活用に関する具体的な取り組みとしてロジスティードの事例を紹介した。

イベントは進行役のLOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長が発した「近い将来、物流会社がいらなくなるのではないか」という問いかけからスタート。これの意味するところは、物流機能は必要不可欠なものとしてなくなることはないが、自動化やAI(人工知能)化、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)が実現した先には、「目的を失った物流会社が存在意義を失うのではないか」ということだ。

この問いに山下氏は「DXが物流のすべてを奪うということにはならない」と応え、現在の物流現場におけるデータ取得が物流現場の「意思決定を推進するため」のものであるという実態を説明。取得したデータを個々で見てもただの記録でしかないが、それらをつなげて統合的に見ることでデータの価値は高まり、グローバルな競争に割って入るためのデータドリブン経営につながっていくと説いた。

ドーモのデータベースを活用し、物流の可視化によりデータドリブン経営を推進するロジスティード。同社DX戦略本部の半澤康弘氏が登壇し、同社の取り組みを紹介した。ロジスティードのサプライチェーン最適化サービス「SCDOS」(エスシードス)を提供するなかで、収集されたデータをドーモによってビジュアルにわかりやすく情報を可視化している。

同社がデータ活用にこだわる理由として、半澤氏はデータ活用による透明性がロジスティクスの変革につながると主張。そのデータは誰でもアクセスでき、現場を含めて活用され、部門や階層を超えた連携を促すものであるとした。また、可視化サービスの目指す未来として、顧客側のデータと協調することでより高度な分析を提供するビジョンを描いていることも語った。

物流業界でデジタル化が進み、5年後、10年後にどういう人材が物流を担っていくかという問いに半澤氏は「物流の5年後、10年後の予測などできない。重要なのは変動することに対するキャパシティーを持っておくこと」とし、実際に起きていることに対する柔軟な対応力と、その対応力をいかに現場に広めていくかということが重要であると説いた。

山下氏は半澤氏の見解を受け、「真のデータ活用とは、その先のアクションを起こすところまで誘導してあげる、また素早く従業員一人一人に展開していくことがカギとなる」と話し、この作業は「社内だけで完結するのは不可能であり、複数の企業間で分業が進んでいくのではないか」とも予測した。

後半では、山下氏が進行役となり、ロジスティードのドーモ活用事例を紹介。

ロジスティードがドーモを採用した根拠として挙げたのが、非IT人材を実働プロジェクトへすぐさま投入したという実例だ。ロジスティードDX戦略本部の松井美緒氏が、入社から半年で実プロジェクトに参加した経験をもとに、ドーモの学習経過を説明。ドーモを使用してみての特長として、プログラミングを知らなくてもデータ加工が簡単であること▽グラフの作成が容易で完成度を高められること▽詳細な集計が可能で表現方法が多様であること──を挙げた。