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自動化ソリューションに触れて試せる

テクラム・ハブから始まる野村不動産の挑戦

2023年11月29日 (水)

話題2024年問題が訪れるまでもなく、将来的には今よりも労働人口が減少することで人手が足りなくなっていくのは既定の事実。そもそも物流業界は、建築業界などと並んで慢性的な人手不足であり、それが加速するとあっては可能な限りの省力化、省人化は待ったなしの状況といえる。

そこで導入すべきはDXなどの自動化機器だが、それなりに資金がかかるし、実物を見ないことにはなかなか導入に踏ん切りがつかないという企業が多くありそうなことも想像に難くない。

自社荷物を持ち込んでの試験運用も可能

「実際に物流の企業様にお話を伺うと、ロボットやピッキングシステム、仕分け機など、実物を見てみないとわからないとおっしゃる方が少なくありません。展示会では機器が動いているのを見ることもできますが、倉庫の中で、人が働いているところで使うとどうなるのかというのはなかなか目にする機会もありません。野村不動産では習志野に『テクラム』という拠点を2年前に作りましたが、そこでは実際にさまざまなソリューションを目にして頂けるだけでなく、実際に動作を確認したりといったこともして頂ける施設になっています」そう語るのは野村不動産の大月拓真氏。

▲野村不動産都市開発部第二事業本部物流事業部事業企画課課長の大月拓真氏

「ピッキングや仕分けの機器はそれ自体の能力や使い勝手が機種によって異なりますし、その前後の工程に入る機材や全体をコントロールするシステムとの組み合わせもさまざま。テクラムでは同じ機器であっても異なる機器やシステムとの組み合わせの例などもご覧いただけるので、多様なシチュエーション、アイテム、オペレーションに合わせたソリューションを試していただけるようになっています」(大月氏)

▲Landport習志野

テクラムはピッキングや仕分け、各種ロボットやシステム、梱包などの資材など物流に直結する有形無形のソリューションを扱う企業を始め、センシングや通信、機器レンタル・リースなど広範な業種の企業が参画するコンソーシアム。野村不動産HPでは「顧客の課題解決とソリューションベンダーの課題解決の両方について、無料から取り組めるプラットフォーム」とされている。このコンソーシアムが拠点としているのが、野村不動産が習志野に保有する「Landport習志野」に置かれている「習志野テクラム・ハブ」だ。

「参画企業の各種機器が実際に動作している状況を見て頂けますし、実際に荷主様の商品を持ち込んで頂いて、ロボットやシステムを使ったピッキングを体験していただくこともできます」テクラムハブでは月2回の見学会を実施しており、今まで192社が見学に訪れ、50社が商談にまで進んでいる。

▲習志野テクラム・ハブの施設内

「テクラム」から始まるデベロッパーの未来像

中国・上海で開かれる物流展を視察した大月氏は、自動化を実現するアイテムは出そろったという印象を受けたという。「ロボットメーカーなどは数も増え、お互いに切磋琢磨している状態。製品はより洗練されるとともに、普及が進むことで低価格化が進み、導入しやすくなっていくはずです。そうなる前に、リーズナブルに導入したいという企業様向けに、レンタル・リースでご利用いただける機材もご用意しています。現在はレンタル・リースが適用できる機材は一部に限られていますが、より多くの機材をご利用いただけるよう調整中です。ちょっと試しに使ってみたい、期間限定で使ってみたいというニーズにも対応可能です」

▲テクラム・ハブに展示されているソリューションの一部(クリックで拡大)

経理上の事情から設備を所有せず、リース料として設備費を処理したいという企業や、決済上の事情で高額な設備投資をしたくないという企業にはありがたい施策だろう。現在レンタル・リースを行っている品目には、ピッキング支援や運搬を行うロボットなどだけでなく、パレットのような汎用資材も含まれている。「テクラムは、さまざまなソリューションに触れていただくとともに、高額な設備を所有しないでもビジネスを営んでいただけるような物流の形を模索するプラットフォームとも言えます」(大月氏)

物流不動産デベロッパーが物流拠点という「ハコ」を提供するだけでなく、省人化、効率化のためのソリューションを提案する。これはいわゆる「デベロッパー」の立ち居振る舞いからすると、かなり踏み込んだ動き方に見えるが、高度に自動化され、小ロットから利用できることを打ち出した野村不動産の新拠点「Landport横浜杉田」の登場を見ると、テクラムは通過点でしか無かったことが分かる。「横浜杉田」では、倉庫はもちろん、庫内の自動化設備も、荷主は所有したり用意したりする必要がない。テクラムには人材サービスの企業も参画していることを考えると、人的リソースすらデベロッパー任せにしてしまえる未来すら透けて見えてくるように思えてならない。

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